森下仁丹は12月13日、核酸医薬の経口DDS(Drug Delivery System)製剤化に必要な基盤技術の開発に成功したことを発表した。

同成果はホソカワミクロンを中心とする産学共同開発プロジェクト「核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤の研究開発」の成果として、ホソカワミクロン、アンジェスMG、愛知学院大学薬学部、大阪大学大学院医学系研究科、森下仁丹の5者がそれぞれのコア技術(PLGAナノスフェア、シームレスカプセル、腸溶性錠剤およびNF-κBデコイオリゴ)を融合することで実現したもの。詳細は「粉体工学会 2012 年度 秋期研究発表会」にて発表された。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)は、10代後半から30代前半の男女によく発生し、消化器系粘膜のびらん・潰瘍によって下血、下痢、腹痛を多発させる病気だ。治療としては、自己免疫異常を抑えたり、炎症を抑えたりすることはできるが、発症-治療を繰り返した後、大腸摘出手術が必要となるケースもある。

そのため、対策として、近年では抗体医薬が開発され、世界約100カ国で125万人以上(国内約10.5万人)の患者が治療を受けているが、病院での点滴が必要で、治療費が高く、根治も難しい場合があることから、患者負担を軽減し、かつ安全で安価な根治療法の確立が求められていた。

こうした背景から、研究グループは、互いの独自技術を持ち寄り、先端的治療薬である「核酸医薬」と「ナノDDS技術」そして森下仁丹の「腸溶性シームレスカプセル化技術」を組み合わ、患者に大きな負担を掛けず、安全で安価な根治医薬の実用化を目指した開発を進めてきた。

なお、研究グループでは今回の成果は、核酸医薬品の経口製剤化の実現に向けて、各機関が協力して進めてきた研究成果の1つであり、「難治性炎症性腸疾患」の根治治療に道を拓く可能性を示すものであり、今後も産学一体で早期の実用化を目指した取り組みを進めていくとしている。