東芝は12月12日、WPC(Wireless Power Consortium)が提唱するQi規格のローパワー分野において、韓国Hanrim Postechと無線給電システム向けICの開発で協業すると発表した。
近年、スマートフォンの普及とともに、充電方法として非接触充電システムへの対応が進みつつある。また、1日におけるスマートフォンの利用時間が以前に比べて長くなり、何度も充電する機会が生じることからモバイルブースターなどを持ち歩く人も増えてきたが、現状では充電するためのケーブルを一緒に持ち歩く必要があり、ケーブルレス化が望まれるようにもなってきた。
今回の提携では、東芝がICの開発・生産を、Hanrimが無線給電システムのモジュールの提案を行うことで、非接触充電システムの普及活動を開始するというもので、今回の発表に合わせて、Hanrimが持つ非接触充電システムのノウハウを活用し、Qi規格のver1.0に準拠した送電側IC「TB6865FG」と受電側IC「TB6860WBG」を発表している。
受電側の「TB6860WBG」は、電圧出力のためにDC/DCコンバータ回路を採用し、バッテリーの急速充電に必要な電流容量を最大1200mAで効率よく出力することが可能。また、既存のスマートフォンプラットフォームが持つ充電の仕組みに電源供給する給電モードに加え、バッテリーへ直接充電可能な充電モードを搭載する。携帯機器に内蔵されるバッテリーパック内に非接触充電を搭載する際、「TB6860WBG」を採用することで充電専用ICが不要になり、スペース面・コスト面にも有利となるという。各メーカーのバッテリーセルが持つ固有の充電プロファイルも内蔵するレジスタ設定で変更可能となっている。
一方の「TB6865FG」は、1つのICで2つのデバイスをサポートし、2台同時充電を可能にするもの。スマートフォンの充電している状態で、もう片方の空いた送電パッドにデジタルスチルカメラやゲーム機などのモバイル機器を同時に充電するといったことができるようになり、1つの充電パッド上で複数の携帯機器の充電を可能とする。
なお、パッケージは「TB6865FG」がLQFP100、「TB6860WBG」がWCSP39を採用。2製品ともサンプル出荷を12月から、量産出荷を2013年1月からそれぞれ開始する予定。