NTT、NEC、富士通の3社は12月11日、世界最高水準の1チャネルあたり毎秒400ギガビット級のデジタルコヒーレント光伝送技術の実用化に向けた共同研究開発を開始したと発表した。本研究開発は総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発」を受託し進めているもの。
3社は、世界中の光ネットワークへの普及が進んでいる毎秒100ギガビット級の光伝送方式の商用化を実現した技術力を結集し、光伝送のキーとなるデジタルコヒーレント光伝送方式のさらなる高性能・高機能化を進める。これにより、超高速かつ低消費電力で柔軟性を兼ね備えた世界最高レベルの光ネットワークの実現を目指すとともに、光伝送技術向上と成果のグローバル展開にも貢献する。
3社は、総務省からの委託研究「超高速光伝送システム技術の研究開発」(2009年度)、「超高速光エッジノード技術の研究開発」(2010年度から2011年度)により毎秒100ギガビット級のデジタルコヒーレント光伝送方式の研究開発を行っており、2012年に商用化したデジタルコヒーレントDSP-LSIは世界のトップシェアとなっている。また、その開発成果は各社によってグローバルに展開され世界中の光ネットワークへの普及が進んでいる。
この技術とチームワークを再度活用し、さらなる大容量光伝送と低消費電力を実現していくため、総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発」のもとに毎秒400ギガビット級の光伝送方式の実用化に向けて要素技術の研究開発を加速する。
本共同研究では、毎秒100ギガビット伝送で採用している4値位相変調に加え、さらに多値化を図った16値の直交振幅変調を採用し、毎秒400ギガビット級の超高速光伝送を実現。これを60チャネル高密度多重することで、1本の光ファイバあたり毎秒24テラビット級の世界最大容量の光ネットワークを実現する。
また、低消費電力化には装置数の削減につながる長距離伝送技術が必要となるが、これまで多値変調信号の長距離化の主要制限要因であった、光ファイバ中の非線形光学効果についての補償技術を確立し、世界初の実用化を目指す。この成果とこれまでに確立した波長分散・偏波モード分散補償技術の高性能化と合わせ、長距離伝送を実現する。さらに、伝送路の状況に応じて、同一のハードウェアでさまざまな変調方式を実現する適応変復調技術の実用化を進め、柔軟なネットワークの構築を実現する。
本取り組みにより3社は、2014年までに「1チャネルあたり毎秒400ギガビット級、ファイバあたり毎秒24テラビット級の超高速・大容量光伝送の実現」、「性能劣化要因である光ファイバ伝送路の波長分散、偏波モード分散、非線形効果を補償する機能の実現とそれに伴う伝送距離の向上(従来の2倍以上)」、「装置数の削減によるネットワーク消費電力の大幅な削減(従来の1/2以下)」、「同一ハードウェアでの適応変復調による柔軟なネットワークの構築」のような次世代光ネットワーク技術の実現を目指す。