神戸大学、兵庫県立大学、国立天文台、埼玉大学の研究者が主導する国際研究チームは11月27日、恒星「おうし座UX A星」をとりまく原始惑星系円盤の姿を直接とらえることに成功し、併せて円盤中に単純な球形ではない、比較的大きな塵粒子が含まれていることも明らかにしたと発表した。

今回の観測は、太陽系外惑星と円盤をすばる望遠鏡を用いて探査する「SEEDSプロジェクト」の一環として実施。成果の詳細な内容は、日本天文学会が発行する学術誌「欧文研究報告」に掲載される予定だ。

おうし座UX A星は、たくさんの中小質量の恒星が生まれている「おうし座分子雲」にある若い恒星の1つだ。おうし座UX A星の特徴は、周囲に恒星が生まれる過程でできるガスと塵でできた原始惑星系円盤があることだ。ちなみに、こうした原始惑星系円盤の中では、一般的に惑星が生まれて成長すると考えられている。

研究チームは今回、すばる望遠鏡に搭載された世界最高性能を有する惑星・円盤探査カメラ「HiCIAO(High Contrast Instrument for the Subaru next generation Adaptive Optics:高コントラスト新コロナグラフ)」を使って、おうし座UX A星の原始惑星系円盤を近赤外線で詳しく観測を行った。

特に円盤に含まれるわずかな塵の分布を調べるために、波としての光の性質を利用する(光の振動方向の偏りを測る)「偏光観測」を実施。塵の微粒子はゆくゆくは惑星になるかも知れないので、塵粒子表面で生じる近赤外線の反射の性質は、惑星の生い立ちを知る上で重要な手がかりを与えてくれるはずとされた。

観測の結果、原始惑星系円盤が半径120天文単位まで広がっている様子を0.1秒角の空間分解能でとらえることに成功(画像1)。とらえられた円盤の(全体としての)形が南北方向(画像1では上下方向)にやや延びており、また西側が東側に比べてやや明るいことから、正面に対して東西方向(画像1では左右方向)に傾いた(西側が私たちに対して近くなるように)円盤を見ていると考えられる(画像2)。

画像1。すばる望遠鏡による近赤外線偏光観測でとらえられたおうし座UX A星の原始惑星系円盤の姿。(c) 国立天文台

画像2。おうし座UX A星の原始惑星系円盤の見え方の概念図。正面に対して東西(画面左右)方向に傾いた状態、つまり西側が地球に近くなるように見ていると考えられる。(c) 国立天文台

また、円盤から届く光が強い偏光を示していることもわかった。偏光の向きの角度分布は中心星を中心とする同心円状になっており、偏光度(偏光の強さ)は偏光角によって大きく変化している。

兵庫県立大の伊藤洋一教授は、「今までは偏光の向きによらずに高い偏光度を示す天体が多く検出されています。しかしこの天体は、偏光の向きによって偏光度が2~66%と大きく変化しています。この見慣れない観測結果の解釈に非常に苦労しました」とコメントしている。

原始惑星系円盤中の塵は本来は星間空間に存在していた非常に小さなもので、そのサイズは0.1μm程度だったと考えられている。おうし座UX A星の円盤に見られる塵は、小さな塵の粒が頻繁に衝突・合体することにより、これほどの大きさまで成長してきたと考えることができるという。すなわち、今回の観測成果は惑星の材料である塵粒が惑星への成長する過程の第1歩を目の当たりにしているのかも知れないとしている。