電通と電通マーケティングインサイト(DMI)は11月21日、人が情報を取り入れ、処理し、反応や行動につなげる非意識的な過程である「感性」を具体化することで課題解決法をデザインしていく考え方「感性工学」を活用し、買い物客の潜在意識下における購入プロセスを読み解くことで、「売りの現場」での販売促進を図る調査・分析パッケージ「ULHINT(ウルヒント)」を開発したことを発表した。

従来行われてきた定量調査の場合、買い物客が店舗の商品棚の前で潜在的に考えていることを把握することは困難であった。同ソリューションは、そうしたことを可能にしたもので、感性工学の研究成果をベースに独自に考案した生活環境やこれまでの経験・体験などに反応して情報がやり取りされる脳内プロセスを言語化した「脳内会話」のノウハウを用いて、人間の言語化できる意識と、言語では説明できない潜在意識の双方から、買い物客の意識変化や意思決定の心理を引き出し、買い物プロセスを把握することを可能とするもの。

これにより人間の持つ感性を読み解き、「購入」もしくは「非購入」に至るプロセスを解明することができるようになり、購入に至る意思決定メカニズムや、購入行動に影響を及ぼす要因を明らかにすることが可能になるとする。

潜在意識を引き出すために情報(ニュース)と経験(ストック)から発生する「脳内会話」の傾聴。買い物客は店頭で得た情報(ニュース)と生活背景や今までの経験(ストック)から発生する情報処理(脳内会話)により、「購入」あるいは「非購入」のいずれかを選択することとなる。ULHINTでは、この脳内会話を発生させる情報(ニュース)を特定し、どのようなプロセスを経て、「購入」あるいは「非購入」に至ったかを解明することができるという

なお、電通ではULHINTでは、クライアントが抱える販売促進上の課題やニーズに合わせて、買い物客の行動や意識を把握する実店舗での調査や消費者に購入までの心理的変容や行動に影響を与えた要因について答えてもらう日記調査や課題解決に向けたコンサルティング・サービスが提供され、食品、飲料、事務用品などのメーカーや流通関連の企業向けには、購買率の向上に資する状況分析、商品やそのパッケージの改善、店頭コミュニケーションの改善といった施策提案も行っていくとしている。

「購入」へ近づけるための脳内会話の種類。「脳内会話」を読み解き、行動につなげる会話を生み出すためには、何が人をそそり、何が人を動かし、何が購入の決定打になるのか、について仮説を構築する必要がある。人々のそれまでの経験(ストック)に、どのような情報(ニュース)がインプットされると、どういう脳内会話や購入プロセス行動が生まれるのか、という観点から4種類の脳内会話の類型を定義、仮説を構築するという