STMicroelectronicsは、携帯電話のアンテナ性能を最適化し、通話途切れの防止とバッテリの長寿命化を可能にする同調型統合コンデンサ「STPTIC」を発表した。

同製品は、多様な動作条件下において、携帯電話のRF出力をアンテナに効率よく伝達するための電気的な調整を行うことが可能。複数の周波数帯での送信を行う携帯電話を利用者の耳に近づけて使用した場合と、耳から離して使用した場合との差異を調整することで、より良い通話性能の確保に役立てることができる一方、RFアンプの消費電力を最小化することで、バッテリの長寿命化を図ることが可能だと同社では説明している。

一般的に複数のスイッチド・キャパシタを内蔵する製品と異なり、処理手順なくコンデンサの調整をスムーズに行えるため、より高い精度を実現することが可能だ。またDFN(6ピン)やフリップチップなどの小型パッケージを採用しながらも、同社のParaScan Barium Strontium Titanate(BST)可変コンデンサ技術を採用することで、多様な制御電圧による3:1以上の静電容量変化と、特定の温度範囲での安定した性能を実現でき、最大2.7GHzの周波数で高いQ値を実現することができる。

容量値範囲は2.7~8.2pFで、出力は+36dBm。同調範囲は3.5:1、直線性はIP3>60dBで、100nA以下を実現可能となっている。

なお、同製品はすでに主要顧客向けにサンプル出荷を開始しており、単価は、DFNパッケージが1000個購入時で約0.5ドル、フリップチップパッケージが同約0.48ドルとなっている。

STの同調型統合コンデンサ「STPTIC」