日立超LSIシステムズは11月12日、デジタル制御電源向けにA/Dコンバータ(ADC)などのアナログ機能、8ビットCPU、デュアルDSP機能、PWMタイマなどを同一チップに集積したミクスドシグナルMCU「MD6601」を発表した。

近年、電力やエネルギーの消費抑制が求められる中で、電子機器に組み込まれる電源装置に対しても、高効率化・多機能化へのニーズが高まっている。これらのニーズへの対応するため、電源装置の制御方式が従来のアナログ制御からデジタル制御へと変わりつつある。

同製品は、デジタル電源の制御性能を向上させることで、出力電圧の安定性・電力効率の向上と同時に、部品点数の削減による小型化・低コスト化を実現した。アナログ機能としては、高速10ビットADC、高精度12ビットADC、汎用オペアンプ、コンパレータ、D/A変換器などを内蔵、各アナログ機能間の内部結線は、ユーザーにより柔軟に変更することができる。

デジタル機能では、8ビットCPUとフラッシュメモリに加え、デジタルフィルタ演算用の高性能DSP機能(Tiny DSP)2ユニット、高分解能PWMタイマ、高速データ転送用DSAC3などを内蔵する。DSP機能は、フィードバック制御の演算処理に専念し、CPUはそれ以外のシステム的な処理を並列に実行することで、電源装置全体の性能を向上させることができる。また、パワー回路駆動のための高分解能PWMタイマを内蔵しており、出力波形のデューティと周期は、ともに1nsの分解能で設定することができ、スムーズなパワー制御が可能となっている。DSACは、ADC、Tiny DSP、高分解能PWMタイマなど周辺モジュール間の高速データ転送を、各種イベントをトリガにして自動実行する。

さらに、アナログ信号検知からデジタルフィルタ処理、パワー回路のPWM駆動という一連の動作を行う各種アプリケーションに応用することができる。例えば、ブラシレスDCモータ制御に応用した場合、高分解能PWMやDSP機能を用いて、モータ駆動用のドライバ回路をタイミング良くオン/オフすることで、スムーズな回転制御を実現することができる。また、モータ回転状態の検出に必要なコンパレータや電流検知用のオペアンプも内蔵しているため、外付け部品の削減による小型化・低コスト化が実現する。

アクティブ動作時の消費電力はデジタル部が150mW(typ)、アナログ部が20mW(typ)。制御用ソフトウェアの開発には、統合開発環境としてCコンパイラ、アセンブラ、デバッガを用意している。パソコンのUSB端子とターゲット基板を接続してフラッシュメモリの書き換えやデバッグを行うための専用デバッグモジュールも提供している。

なお、パッケージは6.0mm角の440ピンQFNで、ピンピッチは0.5mm。サンプル価格は500円の予定。2012年12月よりサンプル出荷を開始し、2013年2月より量産開始の予定。2013年末には月産100万個を計画しているという。