富士通テンは10月18日、前方および左右に加え、上下方向を加えた3次元で物体を検出可能な「車載用 小型77GHz 3次元電子スキャンミリ波レーダ」を開発したと発表した。

富士通テンが開発した「車載用 小型77GHz 3次元電子スキャンミリ波レーダ」

近年、自動車の衝突時の被害を軽減するための「プリクラッシュセーフティ機能」の乗用車への搭載が進められており、日本国内でも2014年11月以降に生産される新型の大型トラックには、車両の総重量に応じて順次、自動的にブレーキをかけて被害を軽減する装置の導入が義務付けられたほか、海外でも欧州連合(EU)で、2013年秋以降に新車販売される大型車への同装置の導入が義務付けられている。

同社は乗用車向けとして2003年より前方用、後方用、前側方用の各種77GHz帯ミリ波レーダを開発し、自動車メーカーに提供してきたが、今回開発された3次元電子スキャンミリ波レーダは、前方検知用で、従来の前と左右に上下方向を加えた3次元をセンシングすることが可能だ。この結果、前方/左右方向に加え、上下方向の3次元スキャンにより、上下の物体をより確実に検出できるようになる。例えば、上方に設置された高速道路の案内看板の高さが検出できるようになり、車両の前方物体のより正確な識別が可能となるほか、道路上の障害物をより確実により離れた位置から識別できるようになり、プリクラッシュセーフティ機能の高速域での性能を向上することが可能となる。

また、高度な信号処理技術を富士通研究所と共同で開発したほか、アンテナ設計の工夫により、従来の2次元電子スキャン方式ミリ波レーダと同程度の、手のひらに乗る大きさを実現したという。これにより、大型車両のみならず小型車両への取り付けも可能になったという。

さらに、従来、車両工場でミリ波レーダを取り付ける際に行っていた軸調整を簡素化することが可能なため、生産性を向上させることが可能になるという。

なお同社は今後、より精度を向上させるための改良を加え、2014年から自動車メーカー各社に向けた提供を目指すとしている。

3次元スキャンのイメージ