昭和電工は10月16日、同社の連結子会社である昭和タイタニウムが紫外光応答型光触媒材料として最高レベルの活性を持つ酸化チタンの開発に成功したことを発表した。同成果は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトによるもので、10月25日に品川コクヨホールにて開催されるNEDO「循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクト」成果報告会にて展示される予定だ。

光触媒は、光エネルギーにより特定の化学反応を加速する物質であり、酸化チタンは、紫外光により強い酸化還元反応と超親水性を示す物質として実用化されているほか、強い酸化還元反応により有機物の汚れが分解されること、および超親水性により水が膜状に広がることから、窓ガラスの曇り止めや外壁防汚のコート剤などの自然エネルギーを利用した環境浄化技術として、より広範な応用が期待されている。

光触媒材料としての酸化チタンは、粒子が微細であればあるほど触媒活性が向上していくが、一般に、微細な酸化チタンは結晶に欠陥が生じやすく、光触媒としての光の利用効率が低下し、触媒活性が下がる点が問題となっていた。今回、昭和タイタニウムでは、セラミックコンデンサ向けの微粒子酸化チタンの製造技術である気相法を応用することで、微細かつ欠陥が少ない十面体酸化チタンを開発することに成功したとしている。

なお同社では現在、2013年内の量産化をめざし、パイロット設備において量産試験を進めており、今後は、より効果の高い光触媒製品に同製品の展開を図るとともに、微細かつ欠陥が少ないという特長を活かし、新たな機能材料としての応用検討を進めていく計画としている。

昭和タイタニウムが開発した十面体酸化チタンの電子顕微鏡写真