スマートフォンといえばとかく最新デバイスに注目が集まるのが常だが、その裏で大きく盛り上がっているのが中古市場だ。特に中古の市場価格が高いiPhoneが台風の目となっている。これは日本だけでなく米国においても同様で、中古端末の価値に気付かずにひっそりと机の引き出しの中に眠ったままになっているユーザーが多いという。

同件を報じているのはWall Street Journalだ。日本ではiPhone 5を購入する既存ユーザーに対して旧端末の下取りを行うサービスをソフトバンクが実施しているが、社長がTwitter上で下取り価格引き上げに言及したり、あるいは「買い取った端末はSIMロックを解除して転売する」行為を行っているのを認めたことが話題になっていたりする。だがこれら発言は、中古iPhoneにそれだけの価値があり、それが主に日本国外で非常に大きな需要があることの証左でもある。WSJによれば、こうした事情は米国でも同様で、「自分が購入した端末代金より高い金額で、当該の端末が中古市場で取引されている」といった現象も珍しくない。

例えばGazelleという中古販売サービスでは、iPhone 4Sの16GB版の価格が240ドルで、米国での販売価格である199ドルより高い。これは本来の端末価格である600ドル超の金額を携帯キャリアが販売推奨金で相殺していることによるもので、実際の価格とは異なるといえるが、それでもこうした逆転現象が発生するのは興味深い。同サービスではiPhone 4でさえ145ドルの販売価格で、これを利用して手持ちの旧端末を下取りに出すことで、iPhone 5のような最新端末を割安に購入することが可能になる。iPhoneほどではないものの、スマートフォンの中古価格高騰は他の人気機種にも波及しており、例えばSamsungのGalaxy S IIIの16GBモデルでは229ドルの値札がついているという。

米国における中古端末の多くは、買い取られた時点でそのまま海外へと持ち出されるケースがほとんどだという。だが中古市場ではつねに品不足の状態が続いており、バイヤーがありったけの端末を買い込んでもまだ需要を満たすだけの商品が出回っていないようだ。これら中古業者は「ユーザーのほとんどは、そもそも自身の持つ中古端末の価値に気付いていない」としており、中古市場の盛り上がりをアピールしている。中古でも市場価値のあまり下がらないiPhoneならではの現象とはいえるが、「こうした市場ニーズもある」ということを心に留めておいていいかもしれない。