オートデスクは9月13日、3次元設計モデルのシミュレーション機能をクラウドで提供する「Autodesk Simulation 360(SIM360)」を9月15日から発売することを発表した。

コンピュータの性能の向上により、ものづくりの現場では製品開発段階における製品案の比較検討、設計段階における機能や性能比較などをシミュレーション上で確認できるようになってきた。しかし、近年は高性能化や高機能化、そして製品バリエーションの拡大などの影響から、シミュレーションを行うための設備と時間が不足し、設計者の業務効率とスケジュールのバランスを取ることが難しい状況になってきている。

Autodesk Simulation 360は、クラウドを活用して、高性能ハードウェアと専門ソフトウェアを利用できるようにしたもので、大規模設備投資をすることなく、高いシミュレーション性能を活用することができる。また、通常デスクトップ環境では1つのシミュレーション作業しか行えないが、同製品を活用することで複数種類の解析作業を同時に実行することも可能となる。そのため、設計者は結果を待つ間に通常業務を行い、デスクトップ環境よりも早いタイミングで結果を検討することができるようになると同社では説明している。さらに、自社で設備投資を行う必要がないため、中小企業や個人事業主でも、設備投資費用を負担することなく高度なシミュレーション機能を利用することができるようになる。

なお、9月15日より提供されるのは英語版で、日本語版は2012年11月以降に提供開始予定としている。提供されるバージョンは使用容量が120ジョブ(計算実行ジョブでカウント)のAutodesk Simulation 360(ただし、日本語版の提供開始までは無制限になっている)と、実行ジョブに制限がない「Autodesk Simulation 360 Unlimited」の2種類。希望小売価格はAutodesk Simulation 360が55万1250円、Autodesk Simulation 360 Unlimitedが110万2500円となっている(契約は年間ライセンス契約だが、この価格にインストール費用は含まれていない)。

また、提供される機能は以下の通りとなっている。

  • 流体解析
  • 伝熱解析
  • 強度解析
  • 熱解析
  • 疲労解析
  • 落下テスト
  • 機構・構造連成解析
  • 構造物フレームにおける強度解析
  • 室内空調の気流解析
  • ダクト、配管、バルブ等の圧損解析 (解析精度を向上させるダイレクト ジオメトリ変換機能、高度なメッシュ ツール、広範な材料ライブラリ、運用実績のあるソルバを搭載)