島津製作所は、タンパク質試料の酵素消化からHPLCによる消化ペプチドの分析までの一連のプロセスを完全自動化するオンライン酵素消化HPLC(高速液体クロマトグラフィ)「Perfinity iDP」の本格発売を開始したことを発表した。

同製品はShimadzu Scientific InstrumentsとPerfinity Biosciencesとの業務提携により、2011年3月より北米において先行発売されていたもので、今回の本格販売により日本および米国以外国や地域での販売が進められることとなる。

高効率のトリプシン固定化カラムを採用したことで、試料中のタンパク質を自動的に酵素消化することが可能となったほか、最適化された専用のトリプシン消化緩衝液を用いることで、消化効率を向上することに成功、最短1分でのオンライン酵素消化を実現したという。また、カラムは繰り返し利用が可能なため、連続での多検体自動分析も可能だ。さらに、トリプシン消化から脱塩カラムでの濃縮工程と、脱塩カラムからの溶出とHPLCでの分析の工程を、同時に並行して行うことでスループットを向上させており、一日に200サンプルのタンパク質試料の分析を行うことが可能となっている。

加えて、トリプシン消化から脱塩、HPLCによる分析までの一連のプロセスにて専用ソフトウェアがメソッド選択と作成を支援。酵素消化時間や、分析カラムのサイズ、グラジエントの時間など最小限の項目を入力するだけで、分析に必要な各種パラメータが自動的に最適化されるため、分析者は複雑なパラメータ設定を行う必要がなくなるほか、自動分析のための分析スケジュールも作成することができる。また分析後は、同ソフトからLabSolutionsソフトにアクセスすることで、容易に結果の閲覧や解析を行うことも可能だという。

このほか、酵素消化から消化ペプチドの分析までの一連のプロセスをオンライン自動化でき、検出部にLC/MSを追加して自動分析を行うことも可能だ。従来のマニュアル処理と比べ、酵素反応や濃縮・脱塩などの処理を一律にコントロールできるため、人為的誤差が抑えられ、再現性のある結果を得ることができるようになる。また、装置内に試料が残存して以降の分析を妨害するキャリーオーバーの問題に対しては、キャリーオーバー抑制に定評のあるHPLCハードウェアの採用と分析メソッドの最適化により、低いキャリーオーバーレベルを実現。これによりLC/MSを検出器として使用した場合でも信頼性のある分析環境を提供できるようになるとしている。

なお、同製品の価格は標準システム構成(ワークステーション込み)で1458万円から(税別)となっており、同社では製薬会社や大学などの研究機関を中心に1年間で30システムの販売を見込むとしている。

Perfinity iDPの外観