Freescale Semiconductorは、ミクスドシグナルMCU「S12 MagniV」ファミリの新製品「S12ZVHY」を発表した。

同製品は、多様なアナログ機能が統合化されており、高電圧の信号と電源をMCUに直接接続することが可能。そのため、ボード空間の節約が図れるとともにシステムの複雑性を抑えることが可能になる。さらに、同製品による設計では、複数のサプライヤからの個別部品供給を最小限に絞り込んで、システム全体の信頼性を向上させることができる。

用途として、コントローラエリアネットワーク(CAN)のコネクティビティ、ステッピングモータ用の計器、セグメントLCD、ドットマトリクスディスプレイを必要とするインストルメントパネルアプリケーションなどが想定されている。

さらにS12ファミリの特長である低消費電力や高機能のペリフェラルに加えて、CANモジュール、内蔵の電圧レギュレータ、リアルタイムクロック、サウンドジェネレータなどの機能を集積しているほか、4KBのECC RAMおよびモータストール検知の独自機能も備えている。

また、従来の自動車エレクトロニクス設計では、バッテリおよびパワーアクチュエータ出力に接続する高電圧プロセスで製造されたデバイスと、低電圧デジタルロジックプロセスで製造されたMCUといったように複数のデバイスが必要とされてきたが、S12 MagniVでは、独自の低リーケージ製造プロセスを利用することで、40Vアナログ、不揮発性メモリ(NVM)、デジタルロジックを1チップ化。現行の設計で最大4個のチップに相当する性能を備え、小型で費用対効果に優れたソリューションを実現することが可能となっており、コンポーネント数の低減によるボード面積の低減のほか、全体の品質の向上も図れ、最終的には車重の減少をもたらすとしている。

ピン互換性があり、S12Zコア、ペリフェラル、ソフトウェアが共通化されているため、ハードウェアとソフトウェアをプラットフォームを超えて再利用することができる。そのため、独自のインストルメントパネルの開発を簡素化する回路図や資料が用意された現在の「S12ZVH」のリファレンスデザインを基に開発を開始しても、「S12ZVHY」のリファレンスデザインにシームレスに移行することができる。「S12ZVHY」ファミリ向けに開発システムは、Cosmicのコンパイラ、CodeWarrior IDEとデバッガなど、従来のS12ファミリと共通の開発用ツールとソフトウェアが提供される。

なお、リファレンスデザインとMCUサンプルは、一部のユーザーを対象に2012年第4四半期より供給が開始される予定。