東日本大震災被災地の中でいち早く復興計画をつくり、被災者と市の話し合いが進んでいる宮城県岩沼市で5日、被災地の中で初めてとなる集団移転のための造成工事が始まった。
工事が始まったのは、市内陸部にある玉浦西地区で、農地を転用して造成する住宅地に津波の被害が大きかった沿岸部6地区約1,500人の移転先となる。岩沼市は土地の買い取り、造成費などこの集団移転事業に111億円の事業費を見込んでいる。
河北新報ニュースサイトによると、5日に現地で行われた起工式では井口経明岩沼市長が「全国のモデルとなる復興を成し遂げたい」とあいさつ、平野達男復興相も「先陣を切れたのは地域の熱意と尽力によるもの」と、それぞれ全国に先駆けて集団移転にこぎ着けたことを祝った。
19.6ヘクタールの造成地には一戸建てと災害公営住宅計348戸分が整備され、隣接する既存の住宅団地「三軒茶屋西地区」(0.8ヘクタール、29戸)と合わせて、沿岸部の移転促進区域6区、471戸のうち、377戸約1,500人が集団移転する。入居開始は2014年春の予定。
岩沼市は、東日本大震災で死者・行方不明186人、全壊736棟、半壊1,606棟という大きな被害を受けた。被災直後に地元出身の石川幹子・東京大学大学院工学系研究科 教授を議長とする岩沼市震災復興会議を立ち上げ、まずどういうまちづくりをするかという議論を開始した。この成果である岩沼市震災復興計画グランドデザイン~愛と希望の復興~ を基に、市民から意見を募集し、昨年9月には予算の裏打ちのある行政計画をまとめている。集団移転は津波で大きな被害を受けた沿岸部の住民から出た希望を受け、さらに移転に当たってはコミュニティを重視すべきだとする石川教授、井口市長らの強い意志も働いて、グランドデザインの時点から復興計画の柱に位置づけられていた。
石川教授は、2008年5月12日に発生した中国四川省の「汶川(ぶんせん)大地震」(死者・行方不明者8万5千人)の後に、中国政府の要請で復興計画のモデルプランを作成した実績がある。復興計画は、被災都市の歴史的市街地を中核として再生し、環状道路で新市街地と分け、環状道路沿いに中高層の復興住宅を建設、その周辺に続く水田地帯をグリーンベルトとして保全する、という考えが基本になっている。
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