昭和電工と米UOPの合弁会社であるユニオン昭和は、東北大学の協力により、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の際に発生した放射性セシウム(Cs)の吸着・除去剤として利用されている「不溶性フェロシアン化物」の安定固化に成功したと発表した。

今回の開発の成果については、2012年8月に予定されている日本原子力学会の再処理・リサイクル部会セミナー及び同学会の9月の秋の大会で発表する予定だ。

不溶性フェロシアン化物はCsに対する選択性が高く、塩分濃度が高い汚染放射性冷却水中においてもCsの吸着率が低下せずに高い吸着容量を保持するという特長がある。

ただし、放射性Csを吸着した使用済み不溶性フェロシアン化物は加熱すると熱分解して放射性Csが揮発し、また「還元性雰囲気」では有毒のシアンガスが発生するために従来法による焼成固化ができないという欠点を抱えていた。

長期安定保管のため、新規の焼成固化法を開発し、不溶性フェロシアン化物で捕捉された放射性Csを封じ込める技術が求められていたのである。

ユニオン昭和は東北大学大学院工学研究科の三村均教授の指導の下、使用済み不溶性フェロシアン化物とゼオライトの混合物を非還元性雰囲気の下で加熱処理することにより、不溶性フェロシアン化物の熱分解により揮発したCsが高比表面積のゼオライトに捕捉され、Csが外部に放出されないことを確認し、安定的に固化することに成功した。放射性Csを吸着したゼオライトは高温加熱処理によりガラス化することで放射性Csの封じ込めが可能となり、長期安定保管される。

今回成功した安定固化法は不溶性フェロシアン化物を事前に担持したゼオライトにも適用が可能であることを確認済みだ。加えて、「ストロンチウム(Sr)」や「コバルト(Co)」を選択的に吸着するゼオライトに、Csを吸着する不溶性フェロシアン化物を担持した吸着剤についても開発を終えており、目下、放射性物質の吸着や安定固化を最終的に確認中だ。