エプソンは、大判インクジェットプリンタ「SureColor」の新商品として、主にCAD/GIS(地理情報システム)用途を想定した「SC-T7050」(B0プラス対応モデル)、「SC-T5050」(A0プラス対応モデル)、「SC-T3050」(A1プラス対応モデル)の3機種を、9月上旬から発売すると発表した。これにより、同社は大判プリンタにおいて、これまでのポスター・POP分野に加え、CAD市場に本格参入する。

価格(税別)は、SC-T7050が59万8,000円、SC-T5050が39万8,000円、SC-T3050が26万8,000円 。

「SC-T7050」

「SC-T5050」

「SC-T3050」

CAD/GIS向け「SC-T7050」「SC-T5050」「SC-T3050」

セイコーエプソン 商業プリンター企画設計部 部長 大島敬一氏

セイコーエプソン 商業プリンター企画設計部 部長 大島敬一氏は、今回の新製品のコンセプトとして、「コンパクトで省スペース」、「基本性能の向上」、「さらに使い易さを追求」の3つをあげた。

「コンパクトで省スペース」では、SC-T3050で約30cm、SC-T7050で約25cm従来機に比べ横幅を削減したほか、重量はSC-T3050で約50%、SC-T7050で約40%軽量化している。

「コンパクトで省スペース」

「基本性能の向上」では、高速・高画質を両立させるため、ヘッド駆動制御を改良し、従来機比で約30%印刷スピードを高速化したほか、インク滴の着弾精度を向上させている。また、起動時間、用紙のカット時間、スタック枚数の強化などでトータルスループットの向上を図っている。

改良を行った「MicroPiezoTFヘッド」。なお、MicroPiezo技術は、ペエゾ素子が電圧を加えると収縮するという特性を活かし、振動プレートを動かし、機械的にインクを飛ばすエプソンが独自に開発したインクジェット技術

そのほか、CAD/GIS用途を意識して、図面出力に必要となる「線画出力」に関わる機能を強化。「細線の忠実な再現」、「斜め線・曲線の滑らかな表現」、「文字つぶれのない表現」などの「高精細」印刷を可能にしたほか、プリンタドライバの「線画モード」にて、距離精度±0.1%、最少線幅0.02mmを実現した。

線画品質

また、新開発の全色顔料インク「UltraChromeXDインク」により耐水性、耐候性、耐摩性を強化したほか、POP用途では鮮やかな赤、締りのある黒により見栄えのアップを図っている。

そして、「さらに使い易さを追求」では、インクおよびメンテナンスボックス交換、用紙交換など主要操作を全て前面から操作が行えるフロントオペレーションを実現したほか、オプションのHDDを搭載することにより、ホストPCの解放を早め、プリンタからの直接印刷を可能した。

用紙のセット。プリンタ上部の用紙ガイド上で、ロールペーパーアダプタを左右から取り付けてスライドさせるだけで用紙装着ができる

これら3機種は、CAD用途では建設業、測量・土木分野、GISでは官公庁を主なターゲットにし、販売目標として、今後1年間で8,500台を掲げている。

フルカラー拡大機「SC-T5050MS」「SC-T3050MS」

また、同社は学校現場での教材や掲示物の印刷を想定した、フルカラー拡大機「SC-T5050MS」(A0プラス対応)、「SC-T3050MS」(A1プラス対応)もあわせて9月上旬から発売する。

「SC-T5050MS」

「SC-T3050MS」

これらの新商品は、大判インクジェットプリンタ「SC-T5050」「SC-T3050」にA4対応高速スキャナをダイレクトに接続し、パソコンなしで簡単にフルカラー拡大コピーを行える。スキャナに原稿をセットして、「部数」、「サイズ」、「用紙種類」を選択の上、ボタンを押すだけの操作で、パソコンを使わずにA0やA1サイズにフルカラー拡大コピーが可能。これにより、行事印刷物・教材の内製化が可能になる。

同社はこれまで、A1プラス対応機種を販売していたが、今回は新たに模造紙サイズの印刷も可能にしたSC-T5050MSも発表し、学校の多様なニーズに対応する。

価格(税別)は、SC-T5050MSが49万8,000円、SC-T3050MSが39万8,000円。いずもれ9月上旬より販売される。

同社では、これら新商品投入により、2012年度の大判インクジェットプリンタ市場32,000台のうち、11,000台を目標に販売していくという。

エプソン販売 LFP MD部 部長 小野潤司氏は、「9月からの販売のため、年度のシェアNo.1は厳しいが、何とか単月でのシェアNo.1を獲得したい」と述べた。

また、エプソン販売 特販営業本部長 佐伯直幸氏は、「レーザーのインクジェット化など、プリンタのインクジェット化を進め、従来のドメインを広げていく。そのキーとなるのは、MicroPiezoヘッドだ。今回の新製品は、1台で複数の目的に利用でき、強力な用途提案ができる。これまで、我々はGA(グラフィクスアート)市場で主に戦ってきており6~7割のシェアを獲得しているが、今後は、これ以外のサインの領域やCAD(グラフィクスアート)市場を含め、トータルで確固たるNo.1の地位を築いていきたい」と述べた。

エプソン販売 特販営業本部長 佐伯直幸氏

エプソン販売 LFP MD部 部長 小野潤司氏