デル株式会社 代表取締役社長 郡信一郎氏

デルは7月3日、都内で報道関係者向けの説明会を実施し、同社の社長を務める郡信一郎氏が日本市場における今後の戦略"4つの強化策"を示した。

冒頭で郡社長は「この1年はいかにして"ソリューションプロバイダ"へと変革していくか」への取り組みに注力してきたと説明。「End-to-Endソリューションの強化」を目的として進めてきた買収により強化された同社の製品(サービス)のポートフォリオがその基盤になるとしている。

日本市場における同社の強化策は、「サービスの強化」「クラウド・データセンターの強化」「チャンネルビジネスの強化」「テクニカルサポートの強化」の4つに分類される。

同社の日本市場における4つの強化策

「サービスの強化」で注力する要素の1つは、ITを通じた顧客のグローバル対応支援だ。この施策では、「Dellグローバル・サービスデスク」と呼ばれるサービスがカギとなっており、「10ヵ国語でのサポート対応やITIL(Information Technology Infrastructure Library)、HDI、ISO 9001:2008などに準拠した世界標準でのコンサルティングやサポートサービスが提供されることになる。

また、セキュリティ対策やガバナンス強化といった日本市場のニーズについては、「Dellインフラストラクチャ・マネージドサービス」や「Dell SecureWorks」といった施策により対応を強化する。

「クラウド・データセンターの強化」では、サーバのみならず、ネットワークも含めた仮想化ソリューションの展開が注力分野として掲げられているが、郡社長は「日本における昨今のクラウドの浸透には、実は中規模の顧客(データセンター事業者)が重要な役割を担っている」との考えを示し、引き続きクラウド・プロバイダー向けの施策展開や新規顧客の開拓を推進する。

「チャンネルビジネスの強化」は、上述の「ソリューションプロバイダへの変革」の重要な要素であり、「"強い"SIerの全国販売網の徹底活用や、製品ポートフォリオ拡充によって増えた新規パートナーとの協業を順次展開していく」と、郡社長は売上の割合について言及することは避けたが、「これらの施策によって直販と間販を"両輪"で展開したい」との考えを示した。

「テクニカルサポートの強化」でのポイントは、個人顧客向けのサポート強化である。郡社長は「法人向けはこれまで高い評価を得てきたが、個人向けのサポートが手薄で法人向けビジネスにも影響が出たケースがあることも事実」として危機感を示し、この反省点を踏まえて既存の「プレミアム電話サポート」のサービスについて、主にビギナーやシニア層向けのサポート需要への対応を強化するとしている。

なお郡社長は同説明会において、上位ベンダーと差が開いているサーバ製品の市場シェアについて「台数を追うのではなく、あくまで売上(収益)を重視する」という考えを明らかにした。