ルネサス エレクトロニクスは、各種センサと「Smart Analog」によるセンサシステムの事前検証をWeb上で容易に実現するWebシミュレータ 「Renesas VA」を運用開始したと発表した。

近年、センサは使い勝手の向上やエコシステムの拡大、ヘルスケアの浸透、セキュリティの強化などから、民生、産業、医療をはじめとした各種機器において搭載が進んでおり、タイムリーな市場投入のために短期間でセット開発を行うことが求められている。しかし、様々なセンサの種類に応じてアナログ回路も異なる回路構成、特性設定を行う必要がある他、アナログ設計にはノウハウを要するため、設計期間を短縮できないという課題があった。

同社ではこうしたニーズに対応するため、同社では、様々なセンサに1つで対応可能、かつアナログ回路の開発を容易化できる「Smart Analog」を2011年に製品化していた。今回、さらに各種センサの書類選定から購入後のシステム検証にかかっていた時間をさらに短縮するため、各部品の購入前からWeb上でシミュレーションが行える「Renesas VA」を開発し運営を開始した。

「Renesas VA」は、市販されているセンサのメーカー名、型番を指定するだけで、最適なセンサ用アナログ回路の回路構成やセンサからの微小な信号を増幅するアンプの増幅度、オフセットを自動で設定できる。さらに、様々なシーンに合わせた使い勝手の良いシミュレーションを実現しており、電圧駆動、電流駆動などバイアス回路の選択や、ノイズ印加など応用シュミュレーションなどが可能となっている。

センサの選定では、ドキュメントでの検討から購入後の実機でのシステム検証が必要だったが、センサ部品や「Smart Analog」を入手する前から即座に選定・検証できるため、(すでに「Smart Analog」で実現したセンサシステムの実機での開発期間の当社比3~8カ月削減に加え)、 さらにセンサシステムの事前検証期間を1~3カ月削減することが可能という。

「Renesas VA」は、クラウド環境により動作できるため、PCなどにソフトウェアのインストールを行うことなく、ブラウザ上での活用できる。ルネサスのWebサイトからユーザー登録すると、無料で即日使用できる。すでに、「Renesas VA」には、市販されているセンサのデータ約100個が登録されている。今後、登録センサ数を順次増やし、2012年度中に約1000個以上のセンサに対応し、ユーザーの利便性を図っていく方針だ。

ルネサスの「Smart Analog」向けWebシミュレータ「Renesas VA」