慶應義塾大学は5月29日、同大理工学部の山中直明教授が、ネットワークが自動で最適な経路を判断し、コンテンツ配信に必要となるクラウド上の資源を光の仮想ケーブルで接続するコンテンツ配信技術の実験に成功したと発表した。

同実験は、省電力なネットワーク運用基盤上で動作するグリーンクラウド上で、仮想化技術を利用し、省電力なコンテンツ配信システムを実現する環境に優しい次世代ネットワークの研究の一環として実施されたもの。

今回、コンテンツ転送エネルギーと処理エネルギーが最小化されるようにクラウド上の資源の最適配置計算を行い、自動接続により最も省電力なコンテンツ配信システムを形成することで、実験に成功した。

グリーンクラウドの構成

山中研究室では、ユーザーが提供するリソースと複数のクラウドが提供する資源を組み合わせ、仮想光ケーブルで各資源を接続することで新しいサービスを創り出すサービスプラットフォームの実現を目指している。5月31日に開催される国際会議iPOP2012(日吉キャンパス)で、実験デモが公開される。

デモンストレーション実験概要

今回の実験で成功したグリーンクラウドネットワーク技術、コンテンツ配信技術は、実験室規模での検証実験の段階から、情報通信研究機構が提供するテストベッドであるJGN-Xを利用した広域検証実験へ研究開発を進め、本技術の実用化時には、現在のインターネット上に構築されるコンテンツ配信システムと比べて、削減率30%程度の省電力化が期待されている。