シャープと科学技術振興機構(JST)は5月29日、酸化物半導体(IGZO:InGaZnO)を用いた薄膜トランジスタに関する特許のライセンス契約を締結したと発表した。

シャープが、IGZOを採用した液晶パネルの本格的な生産に移行したことから、JSTとの2012年1月20日の合意に基づいて発表された。

同技術の特許は、東京工業大学の細野秀雄教授らが、JSTの創造科学技術推進事業のプロジェクトにおいて発明したもので、東京工業大学などの出願を含め数十の特許群から構成され、JSTが一括でライセンスを実施している。2004年に細野教授らは、IGZOを薄膜トランジスタに用いると、従来の液晶パネルで採用されているa-Siに比べて電子移動度が1桁高いことを見出した。同年11月には、科学雑誌「Nature」でその成果を発表している。

シャープでは、このIGZOを採用した高性能な液晶パネルを半導体エネルギー研究所と共同で開発。3月より亀山第2工場(三重県)で生産を開始し、4月から本格的な生産に移行している。同技術により、液晶パネルの高精細化と低消費電力化が図れるため、モバイル機器や高精細ノートPC、高精細モニタなどの幅広いアプリケーション向けに供給し、新しい市場の創出していく方針という。