米Googleは5月16日(現地時間)、「Knowledge Graph」の提供を発表した。人、場所、物事などについて、Web検索を行ったユーザーが探していると思われる、またはユーザーの参考になると思われる情報やデータを検索結果と共に示す。現時点ではユーザーのWeb検索を手助けする機能にとどまるが、「ユーザーが検索する意図を理解し、ユーザーが求める答えを返す」… セマンテック検索の実現を見据えた新サービスであり、エンジニアリング担当SVPのAmit Singhal氏は「この小さな第1歩を誇りに思う」と語っている。

Knowledge Graphは検索結果リストの右側に表示され、3つのポイントでユーザーのWeb検索体験を高める。

1つは「同音語の絞り込み」。例えば「Taj Mahal」とユーザーが検索した場合、ユーザーが調べようとしていることは世界遺産のタージ・マハルのほか、ブルースミュージシャン、カジノ、インド料理店なども考えられる。そうした検索意図の可能性がKnowledge Graphの「See results about」に並ぶ。該当するものがあれば、ユーザーはワンクリックで検索結果を絞り込める。

「Taj Mahal」と検索すると世界遺産のタージ・マハルが検索上位になるが、Knowledge Graphからワンクリックでミュージシャンのタジ・マハールやTaj Mahal Casino Resortなどに結果を絞り込める。

2つめは「要約(サマリー)情報」。「Marie Curie」と検索した場合、キュリー夫人の略歴、学歴、家族や関連する人々などの情報がKnowledge Graphに表示される。こうした情報はGoogle検索ユーザーの検索動向を分析したデータから作成されているため、基本情報を確認することでユーザーは検索の回数を削減できる。例えばトム・クルーズの要約情報は、人々が「Tom Cruese」と検索して次に検索することに対する答えの37%をカバーしているそうだ。

人や物事、場所に関して、検索ユーザーの多くが探している情報がまとめられている。リンクを辿ることで新たな発見も

3つめは「発見」。Knowledge Graphに書かれている情報はリンク(人や物事の関係)で構成されている。例えばキュリー夫人の情報は、2人の子供や夫、関係した教育機関や研究所、ワルシャワ、ラジウム、ポロニウムなどにリンクしている。また「People also search for」という欄に、同じ検索を行った人たちが同時に検索したことがリストされる。キュリー夫人の場合は「Pierre Curie」「Albert Einstein」「Ernest Rutherford」などだ。こうしたリンクを辿ることでユーザーは知識を深め、知らなかったことを発見できる。

このようなデータのリンクの蓄積はセマンテック検索の基盤になる。「キュリー夫人」「女性」「ノーベル化学賞」などの結びつきから、将来的には「ノーベル賞を受賞した女性は何人?」というような質問に検索が正確に答えられるようになり得る。

Knowledge Graphは現在、英語(US)ユーザーを対象にロールアウトが開始されており、パソコン版だけではなく、モバイルデバイス(Android 2.2以上、iOS 4以上)でも利用可能になる。