JFEスチールは4月19日、KELK、北海道大学 エネルギー・マテリアル融合領域研究センターと共同で、新エネルギー・産業技術総合開発機構の省エネルギー革新技術開発事業として、2011年度に採択された「製鉄プロセスにおける排熱を利用した熱電発電技術の研究開発」を開始したことを発表した。

熱電発電(温度差発電)技術は、異なる金属または半導体に温度差を設けると電圧が発生する「ゼーベック効果」(画像1)を利用して熱から電気を生み出す技術で、発電時のCO2排出がまったくないクリーンな発電だ。それどころか、現在は無駄に捨てられている熱を有効活用できる優秀な発電システムである。

画像1。「ゼーベック効果」概念図

今回の研究開発では、KELKが開発した世界最高クラス性能(出力密度1W/cm2)の熱電変換モジュールを用いて、製鉄所の未利用排熱からの発電を試みる。24時間操業の製鉄所には常に排熱が存在するため、熱電発電システムなら昼夜・天候によらず、年間を通して安定した電力を安価に得られる可能性があるのだ。よって、今回の技術をさまざまな工場排熱に適用すれば、省エネルギーやCO2排出の削減に効果を発揮するものと期待されるのである。

2012年度内にJFEスチールは東日本製鉄所(京浜地区)の連続鋳造設備に最大出力10kWの熱電発電システム(画像2)を設置し、スラブからの輻射熱を利用した発電の実証試験を実施する形だ。発電性能や耐久性を確認すると共に、システムのLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)評価も行い、最終的には100kWクラスでの実用化のめどをつける計画だ。

画像2。連続鋳造設備への熱電発電システム設置イメージ

JFEスチールは今後もさらなる省資源・省エネルギーに資する生産プロセスや商品の開発を通じて、地球環境保全に貢献していくとしている。