日本HPは、マネージド・クラウドサービス「HP Enterprise Cloud Services」、およびパブリック・クラウドサービス「HP Cloud Services」を新たに提供開始するとともに、プライベート・クラウドを含めたハイブリッド・クラウド環境における構築、運用管理、保守までを可能にする単一アーキテクチャに基づいた戦略およびポートフォリオである「HP Converged Cloud」を発表した。

「HP Converged Cloud」は「HP Converged Infrastructure」、「HP Converged Management and Securityソフトウェア」、「HP Converged Information」、およびOpenStackのセキュリティが強化されたオープンソース技術をベースに構築されている。

同社では、「HP Converged Cloud」はオープン・アーキテクチャに基づいているという点で、市場の他社のクラウド戦略、考え方と大きく異なり、これにより、さまざまなハイパーバイザー、オペレーティングシステム、開発環境、異機種インフラストラクチャ、拡張可能なパートナーエコシステムに対応したオープンな業界標準ベースのアプローチによる選択肢が提供できるとしている。

「HP Converged Cloud」

日本HP 代表取締役 社長執行役員 小出伸一氏

日本HP 代表取締役 社長執行役員 小出伸一氏は「現在のクラウドサービスは、ベンダーの独自仕様によるロックインが課題となっており、チェックインしやすいが、チェックアウトしにくいサービスになっている。HP Converged Cloudでは、標準化、仮想化、自動化を行って、クラウドを横断的に管理できるようにする」と語った。

マネージド・クラウドサービス「HP Enterprise Cloud Services」は、4月より国内のデータセンターで提供するエンタープライズユーザー向けの堅牢なIaaSのサービスで、「HP Enterprise Cloud Services-Compute(HP ECS)」によって提供される。

「HP ECS」は、 HPのデータセンターからサービスとしてプライベート・クラウドを提供するもので、サーバ、ストレージ、ネットワーク、セキュリティのリソースを提供する。

「HP Enterprise Cloud Services」

今後、連携する複数のデータセンターを世界同時展開し、日本語サポートを含むグローバルの均一サービスとして提供するという。すでにアジアを中心にグローバル展開する日本の製造業をターゲットに、中国の天津にもデータセンターを作る予定で、ここでは日本のユーザーのみに日本語によるサービスを提供するという。

HP Enterprise Cloud Servicesでは、IaaSの基本サービスとして「ECS-Compute(Virtual Private Cloud)」を提供するほか、リカバリーサービスとして「ECS-Continuity」、Exchangeによる電子メールサービス「ECS-Messaging」、SharePointを利用して連携しコラボレーションを促進する「ECS-Collaboration」、音声/マルチメディア/ユニファイド・メッセージング/プレゼンス管理/外部接続対応などユニファイド・コミュニケーションのソリューションとなる「ECS-Unified Communications」などを提供する。また、オンプレミスからクラウドへの移行をサポートするコンサルティングサービスも提供する。

一方、「HP Cloud Services」は5月から提供する予定(Public Beta)のパブリック・クラウドサービスで、ユーザー自身がクレジットカード決済によってサービスを開始できる、セルフサービス型仮想マシン基盤。オープンソースのクラウド基盤である「OpenStack」を採用しており、デベロッパーとのエコシステムを重視し、多くのアプリケーション、サービスベンダが参加する予定だという。

「HP Cloud Services」