戦略コンサルティングの米Chetan Sharmaがこのほど、2011年第4四半期(10月ー12月期)および2011年通年の米国モバイル市場調査報告書「US Wireless Data Market Update 2011」を発表した。同報告書は、タブレット、スマートフォンなどの端末とデータ通信の観点から、米国モバイル市場のトレンドを分析している。

第4四半期に出荷した携帯電話のうち65%はスマートフォンが占めており、オペレータによるポストペイド(プリペイドではない契約顧客)の売上の80%がスマートフォンだという。米国は世界のスマートフォンの40%を占める一大市場で、マインドシェアではiOS、台数シェアではAndroidが独占している。

タブレットは3GとWi-Fi、Wi-Fiのみの2種類で提供されている製品が多いが、90%が「Wi-Fiのみ利用」と回答。同社は「オペレータは必ずしもタブレットの必須配信チャネルではない」としながら、「複数の端末を単一のデータ料金で利用できるようバンドルするオペレータが今後、成果を出すだろう」とコメントしている。

同社はポストPC時代の幕開けとして、タブレット、ネットワーク、クラウドの組み合わせは「大きな価値提案」とする。今後コンシューマーは共通のIDでクラウド、メディア、セキュリティレイヤを共有しながら複数の端末を使うようになると予測、ここではアプリとサービスが重要となり、モバイルプラットフォーム上のアプリとサービスがデスクトップ環境を定義し始めていると、モバイル第一主義の傾向を指摘する。

ベンダーについては、「時代が移り変わる時、必ず勝ち組と負け組が生まれる」とし、「新しいコンピューティングパラダイムに適応するにあたり苦境にある」ベンダーとして、米Hewlett-Packardと米Dellを挙げている。

モバイルデータ通信の売上は2011年通年で670億ドル、第4四半期は186億ドルとなった。これは、前四半期比では5%増、前年同期比では19%増となる。2011年の年間の成長率は22%増で、同社は2012年の米国モバイルデータ市場は800億ドルに達すると予想している。一方、ARPUは0.43ドルの減少となった。米国でデータと音声による売上が逆転する転換点は2013年前半と予想している。