三菱マテリアルは、自動表面実装が可能で、高温耐熱性に優れた小型/低価格のチップ型非接触温度センサを開発したことを発表した。

一般的に電子機器に汎用的に用いられている非接触温度センサとしてはサーモパイルがあるが、自動表面実装に対応していない、耐熱性が低い、高価格であるなどの問題があった。今回同社が開発したチップ型非接触温度センサは、チップ型で自動実装とはんだリフローに対応が可能であること、使用温度上限が150℃(従来品は80~100℃が上限)と高温耐熱性を持つこと、そしてサーモパイルの価格に比べ1/2程度の価格に抑えられることなどの特長を有しており、温度検出対象物から放射される赤外線を非接触の状態で検出し温度を測定することができる。

測定原理は、センサが受光した赤外線量に応じて、センサ内の2つの感熱素子(温度に対して負性抵抗を示す)の抵抗値が異なる値を示す構造になっているためで、これにより簡単な電気回路で検出回路を構成することができる。そのため微細な半導体加工技術を用いていた従来の非接触温度センサと比べ、同社が開発した独自の構造および材料技術による小型かつ高精度の感熱素子により簡単な構造で赤外線を検出することが可能となった。

なお同社では、今回開発したチップ型非接触温度センサは、低価格で、かつ組み込みが容易であり、さらに非接触に温度測定ができることから、従来の接触式における取り付け工数やハーネスの削減が可能となり、費用対効果の改善を図ることが期待できるとしており、リチウムイオンバッテリモジュールやインバータ回路などの産業用機器の温度管理用途や、IHクッキングヒータや電子レンジなど調理物の温度検出用など、広範囲な用途に活用することができるとしている。

三菱マテリアルが開発したチップ型非接触温度センサ

チップ型非接触温度センサによる温度測定の仕組み