日立ソリューションズは、従来のビデオ会議の音声・映像・資料の共有に加え、ホワイトボードを利用した会議も行えるコラボレーションシステム、「Hitachi Advanced Collaboration System」(以下ACS)を開発し、ワールドワイドで販売を開始すると発表した。システムは、5カ国語(日、英、独、伊、仏)に対応し、日本と米欧市場に向け3月1日より販売を開始する。主に大企業での利用を想定している。

ACSは、書き込みや資料共有が可能な同社のホワイトボードソフトウェアに、ベースのビデオ会議システムとして、マイクロソフトのユニファイドコミュニケーション(UC)基盤「Microsoft Lync」を利用し、プレゼンス情報、音声通信、映像共有の機能などを統合したもの。本社では会議室でホワイトボードを利用し、支店ではPCを利用して会議に参加といった運用が可能。通常、これらは別々のシステムで提供されるが、本システムでは必要なすべての環境を、同一のインタフェースで利用できることが特徴となる。

ACSの画面。左が共有領域、右が自分だけが利用できるローカルエリア。ローカルエリアに表示した画像をドラッグ&ドロップで共有エリアに移動できる

共有エリアだけを表示することも可能

同社では、ビデオ会議のシステムにLyncを採用した理由として、グローバルで展開されていること、大企業においてはマイクロソフトの基盤が利用されるケースが多いこと、Lyncが2010年に発売後、1年で30%のシェアを獲得したことなどを挙げている。ただ、今後は市場動向をにらみながら、他のビデオ会議基盤の利用も考えていくという。

ACSの主な機能は、相手と音声、映像だけではなく、資料やホワイトボード上の書き込みの共有が可能な音声・映像・資料共有機能のほか、コンタクトリストから相手を選択し、相手の状態を確認したうえで会議に招集する「参加召集機能」、ホワイトボードのデータを編集可能な状態で保存することが可能な「データ保存機能」、音声とホワイトボードや資料に書き込まれた情報を動画として保存し、後から議論した内容の確認が可能な「録画機能」など。

また、オプションでSharePoint Serverを導入することで、文書管理システムに登録した資料の表示や共有、同じくオプションでExchange Serverを利用することでスケジューラの予定と連携した会議の開催が可能になる。

SharePoint Serverを導入することで、文書管理システムに登録した資料をドラッグ&ドロップで共有エリアに表示できる

Exchange Serverを利用することで自分のスケジューラの予定を呼び出して会議を簡単に開催

コンタクトリストから相手を選択し、相手の状態を確認したうえでの会議に招集する「参加召集機能」

日立ソリューションズ システムプラットフォーム事業部 プラットフォームプロダクト本部 本部長 臼杵誠剛氏

ホワイトボードのデータは、独自形式とPDFで保存が可能。同社では、とくに業種は指定しているわけではないが、製造業で強いニーズがあるという。

導入費用は、1,000名で利用する場合、ACSのライセンス価格が1,575万円で、このほか、Lyncのライセンス価格やサーバ費用が必要になり、トータル5,000万円弱になるという(SI費用は別途必要)。

日立ソリューションズ システムプラットフォーム事業部 プラットフォームプロダクト本部 本部長 臼杵誠剛氏は、次世代コラボレーションという新たな市場をリードし、2015年に売上げ20億円以上を目指したいと語った。