KDDIは12月14日、グローバルに通用するインターネットサービス・アプリを創りだしていく起業家・エンジニアを支えるためのプラットフォームとして、同社が開始したプログラム「第1期 KDDI∞Labo (KDDI ムゲン ラボ)」の発表会・表彰式を行った。参加チームによるプレゼンテーションが行われ最優秀チームが決定した。

KDDIではこの取り組みの中で、参加チームにはサービス開発と経営支援の双方から専門的なアドバイスを提供するとともに、出資・事業提携も視野に入れた支援を行なっている。第1期KDDI∞Laboに参加したのは、100社近くの応募から選ばれた5チーム。3カ月のプログラムを経て、Android OSなどに対応するアプリケーションを開発した。

ギフティの開発した「giftee」はTwitterやFacebookなどSNS上の友だちに小さな贈り物ができるサービスだった。ソーシャルメディア上の友人にメッセージ以上のものを贈りたいと思ったことが、開発のきっかけになったという。

gifteeはコーヒーやケーキ、カフェでの「ドリンク1杯」など、小さな贈り物ができるサービス

決済は「au かんたん決済」を利用する。2012年3月にサービスの提供を開始できる予定

ガラパゴスの開発した「リアージュ」は、誰でも簡単にオリジナルのAndroidアプリが開発できるサービス。将来、スマートフォンアプリの制作が一般のユーザーでも気軽にできる時代が来るとの見解から、このサービスを開発したという。アプリの土台となるプラットフォームは、2012年2月に一般ユーザーに解放される予定だ。

ユーザーが作ったオリジナルアプリはマーケットに登録され、ほかの人が利用できるようになる

シンクランチの開発した「ソーシャルランチ」は、Facebookのアカウント情報を用いたビジネスランチ セッティングサービス。これは都市部の社会人向けのサービスで、社外交流を促進するものだった。

Facebookのアカウント情報により名前・顔写真・勤務先をあらかじめ認識できるので、透明性が高い。参加はペアで行う

気になる相手ペアに「ランチ申請」を行い、承諾を待つシステム(写真左)。ローンチ後の55日間で15,00人が登録、500件がランチ成立したという

その他、電子書籍の感想をユーザー同士で共有できる「Qlippy」、デコメを中心としたメッセージサービス「REAL+」の紹介が行われた。これら5つのサービス・アプリの中から第1期最優秀アプリとして選ばれたのは、ソーシャルランチだった。新たな市場をつくりたいという思い、シンプルで使いやすいUIなどが審査員から高い評価を得たという。代表の福山誠氏は「人生を豊かにするのは人と人とのつながりである、という信念を持っている。ソーシャルランチを使って、新しい昼の文化をつくっていきたい」とコメントした。

この5つのサービス・アプリは本日より「au One Market」内の「KDDI∞Labo 特設コーナー」にて順次展開される。

第1期 KDDI∞Laboの参加者たち

15日から、第2期 KDDI∞Labo参加チームの募集が行われる。応募期間は、2012年2月10日までで、プログラム期間は2012年3月上旬から5月下旬までを予定している。詳細はKDDIのWebサイトで確認して欲しい。

現在、第2期の募集内容・応募条件などの要項が公開されている(写真右)

この後、質疑応答が行われ、同社代表取締役執行役員専務 新規事業統括本部長の高橋誠氏と同社新規事業統括本部「KDDI∞Labo」ラボ長の塚田俊文氏が記者陣の質問に答えた。KDDIとしてこのOSのアプリや開発者が欲しいという思惑がある場合、プログラムに反映させることはあるか、という質問に高橋氏は「OSの制限など、あまり手かせ足かせになるような制約を設けたくはないと思っている」と答えた。しかしオープンな開発を尊重するあまり、少し開発者任せで無責任になってしまった部分があるかもしれない、という自省の念も感じているという。そういった意味合いから、「コンテンツプロバイダがビジネスを営むにあたって、必要なプラットフォームを1つひとつ定義していく時代になってきているのかも知れない」という考え方を示した。

日本と海外の開発者を比べた場合、日本の開発者の強味は何か、という質問には、北米の開発者を知る高橋氏は「日本の開発者は基本的にすべてのことをモバイルで完結できるようなプログラムを作るが、北米の開発者はまだモバイルをPCの延長線上で考えている。これは東南アジア戦略を考えたときに、日本の開発者に有利に働くと思う」と指摘した。

質問に答える塚田氏(左)と高橋氏

(提供:AndroWire編集部)