欧州経済領域における電子書籍販売において、欧米の出版大手5社が米Appleと不当な価格協定を結んだ疑いがあるとして欧州委員会(European Commission: EC)が正式調査を開始した。12月6日(ブリュッセル時間)にECが発表した。

調査対象の出版社は、Hachette Livre (仏)、Harper Collins (米)、Simon & Schuster (米)、Penguin (英)、Verlagsgruppe Georg von Holzbrinck (独)。これら5社とAppleが、欧州連合の反トラスト法が禁じるカルテル行為に関与した疑いがもたれている。ECは、反競争的な目的または効果を狙った不法な合意または行為の有無を確認し、また電子書籍の販売に関して出版各社が小売業者と結んだ代理店契約の内容についても調査するという。

AppleのiBookstore

印刷書籍は出版各社が小売価格を設定し、また欧米では卸売りモデルが採用されているため、書店において各店の判断で新書も値引き販売されている。印刷書籍に比べるとAppleのiBookstoreにおける電子書籍の価格は均一的であり、ECの調査結果によっては書籍だけではなく、音楽や映画・TV番組など同様の価格モデルを採用するデジタルコンテンツの流通に影響が及ぶ可能性がある。