グーグルは11月30日、Android向けの地図アプリケーション「モバイルGoogleマップ」に新機能「インドアGoogleマップ」を追加した。同機能を利用することで、東京都内のデパートや百貨店、駅構内の地図が追加されており、複雑な店舗内などでも現在位置を把握できるようになる。対応OSはAndroid 2.2(Froyo)以降で、タブレット端末でも利用できる。
インドアGoogleマップは、JR山手線、東急東横線など東京23区内の主要駅や羽田空港、成田空港、伊勢丹、小田急百貨店といった交通機関や空港、商業施設などの建物内の地図(インドアマップ)を表示できる機能。通常のGoogleマップの利用と同様に、地図を拡大するとシームレスに建物内の地図が表示される。地図情報は、建物内の各テナントの名称まで表示される細かいもので、トイレやエレベーター、エスカレーターの場所も表示されるため、広く複雑な建物でも、目的の場所を探しやすい。
GPS、携帯電波、無線LANを組み合わせた現在地取得機能も動作し、建物内のどこにいるかも分かる。建物内では、特に無線LANによる位置情報取得により、ピンポイントで現在地を表示。無線LANのアクセスポイント情報を使って現在の階数も正確に表示できる。複数回の建物でも、エレベーターの階数表示のように階数を指定し、各階の地図を切り替えることも可能だ。
現時点で対応するのは、日本百貨店協会加盟10社の17店舗を含む101施設、59駅だが、今後都営地下鉄全101駅、千葉県内も含めたJR各線の77駅、東急電鉄全98駅、鉄道会館の地下道、ららぽーとTokyo Bay、アークヒルズ、六本木ヒルズなどの施設にも拡大する予定。それ以外でも、ユーザーの要望が高いような場所においても提供もしていきたい考えで、「日本全国に今後広げていきたい」(グーグルプロダクトマネージャー牧田信弘氏)という。また、今回協会としてデータを提供した日本百貨店協会でも加盟約250社で「できるだけすべての会員」(同協会企画開発部長・西田光宏氏)の地図提供をしていきたいとしている。
インドアGoogleマップは、米国と日本の同時リリースで、米国でも空港やショッピングモールなどのインドアマップを提供。米国よりも日本は「より複雑な構造」(牧田氏)の施設が多いため、こうした機能の提供につながったという。なおデータ提供を含めて各施設の許可を得て作成しているという。なお、マップの修正には2つの方法を用意。パートナーから直接情報をもらう方法と、ユーザーからの報告をグーグルが確認してデータを更新する方法だ。
同日、都内で開催された説明会でグーグルの牧田氏は、「ゆくゆくはすべての場所をマップしていきたい」というグーグルの目標に対し、屋外の地図は「ほぼ網羅した」が、屋内が対応できていなかったため今回の機能を実装したと説明。将来的にはストリートビューやナビでの対応も検討していく意向を示している。ゲストとして登壇した百貨店協会の西田氏は、「お客さまの利便性向上が第一義」で参加したとコメント。百貨店の顧客層の中心が「どちらかというと総じて40代以上」であることに対し、スマートフォンユーザーの中心は若い人で、そうした若年層がインドアマップを見て百貨店に関心を持ち、来店してもらうことを期待しているという。同説明会では、観光庁の溝畑長官もビデオメッセージを寄せ、世界各地の旅行者が日本に来た際の利便性向上につながると歓迎の意向を示した。
グーグルでは、マップの言語表示を端末の言語設定に合わせて表示する機能の提供もすることで、海外の旅行者が快適に利用できる環境を構築していく考えだ。なお、インドアGoogleマップはAndroidのみの提供で、iOSやWindows Phone、フィーチャーフォン、PCといったほかのプラットフォームには非対応。牧田氏は、検討はするとしたものの、ほかのプラットフォームへの展開は現時点で未定としている。
(提供:AndroWire編集部)
関連リンク
・グーグルが都内で説明会、最新モバイルOS「Android 4.0」について解説 (2011年10月25日)
・グーグル