NECは、同社グループ会社NEC東芝スペースシステム 生産本部 システムインテグレーション検査部 班長の西根 成悦氏が、厚生労働省が定める平成23(2011)年度「卓越した技能者表彰(現代の名工)」の受賞が決定したことを発表した。

"現代の名工"は、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰するもので、1967(昭和42)年の創設以来、技能者の地位および技能水準の向上を図るとともに、技能の世界で活躍する職人や技能の世界を志す若者に目標を示し夢と希望を与えることを目指して実施されてきた。

同氏の職種は「人工衛星総組立工」で、受賞の理由については、「人工衛星システムの総組立に長年従事し、小惑星探査機「はやぶさ」などに代表される先端の性能を備えた科学衛星・惑星探査機の微細な部分から衛星全体の組み立てまで優れた技能を有している。現在もSPRINT-A/ASNAROなどの衛星組立を担当しながら、後進の指導・育成に貢献している」というもの。

人工衛星の最終組立は、機械加工技能、複合材成型技能、電気計装組立技能、熱計装組立技能、ハンドリング技能など広範囲の技能、かつ応用力と堅実な作業遂行能力といった多様な技能が必要であるが、同氏がこれまで担当した人工衛星はすべて打ち上げに成功しているという。

西根氏は、1957年10月生まれの54歳。1973年のNEC入社直後に同社の技能専修学校に入校、1976年3月に同学校を修了し、同4月より同社横浜事業場にて衛星搭載部品製造に従事、その後、科学衛星の組み立ての主担当などを経た後、2001年10月よりNEC東芝スペースシステムに出向している。

なお、NECではグループ全体として、今回の人工衛星総組立工という職種のほか、様々な職種に対し、高い技能を有する人材の育成を進めていく方針としている。

組み立てられた探査機「はやぶさ」の全景

探査機「はやぶさ」の熱真空試験前の作業風景