カナダのResearch In Motion (RIM)は10月26日(現地時間)、同社の「BlackBerry Bold 9900」ならびに「BlackBerry Curve 9360」がSIMベース端末のスマートフォンとしては初めてMasterCardのPayPass Handset Certificationの認定を受けたと発表した。両製品ともBlackBerry 7 OSを搭載し、同社としては初のNFC (Near Field Communication)をサポートした製品で、これら端末からPayPassの非接触型モバイルペイメントサービスが利用可能になったことを意味している。

PayPassはMasterCardが提供している非接触型ペイメントサービスで、すでに契約小売店の一部に対応端末の設置が行われている。ICカードやタグだけでなく、NFC対応の携帯端末にPayPassの決済情報を記録しておくことで、日本でいうおサイフケータイみたいな感覚でクレジットカードによる決済が可能になる。携帯電話で同種の決済を行うメリットとしては、クレジットカードを複数持ち歩かずとも普段手持ちの端末で処理が行えること、そしてカード発行や再発行などが携帯キャリアのネットワークを介して即時に行えることで、数週間カードが使えなくなるといったデメリットが少ない。またピンコードによるロックがデフォルトでかかっており、例えばPayPassのケースでは50ドルを超える決済の場合はピンコード入力を求められるなど、従来の"Swipe"型カードに比べてセキュリティが高くなっている点も特徴となっている。

現在、Googleが米携帯キャリアのSprint Nextelと共同で行っている「Google Wallet」のフィールドテストでは、同キャリアのNexus S 4Gを持つユーザーがCitiに申し込みを行うことで、Nexus SでPayPassサービスを利用できるようになっている。ただし、SprintはSIMを利用しないCDMAベースのキャリアであり、Nexus S自身もカード情報などを記録したセキュアエレメント(SE)を端末側に内蔵するeSE (Embedded SE)という方式を利用しているため、RIMが公表したように、SIMにSEを搭載したスマートフォンとしては今回のBlackBerryが初になったのだと思われる。NokiaやSamsung製の端末を中心に、欧州ではすでに既存のフィーチャーフォンにNFCを搭載してPayPassサービスが開始されている。欧州ではフランスのOrangeをはじめ、携帯キャリアがSIMカードにSEを記録する方式を前面プッシュしているため、今後はBlackBerryのようにSIMカードにSEを搭載したNFCスマートフォンが増えてくるだろう。