パナソニックは9月26日、10月5日~7日まで東京ビッグサイトで開催される「第38回国際福祉機器展」において、新型ロボットや発表済みのロボットの改良バージョンを披露することを発表した。今回出展されるのは、新型となる自律移動型のコミュニケーション支援ロボット「HOSPI-Rimo」(Remote Intelligence and Mobility)と、2010年に発表された「洗髪ロボット」、2009年に最初のバージョンが発表されたベッド型ロボット「ロボティックベッド」の3種類。同社は、これらのロボットにより、要介護者の安心・安全で快適・元気な暮らしのサポートを提供することを目指していくとしている。
今年の新登場となるロボットのHOSPI-Rimo(画像1)。同社の病院内搬送ロボット「HOSPI」の自律移動技術とHD映像コミュニケーション技術を応用し、介護施設などの入所者との対話や指導、病院の入院患者や施設の入所者・独居高齢者などへの遠隔地からのお見舞いなど、離れたところにいる人同士の自然なコミュニケーションを仲立ちするロボットである。
特長の1つは、「自律移動と操縦とのハイブリッド遠隔制御技術」。対象となる人の近くを指定すれば、HOSPI-Rimo自身が周囲の状況を認識しながら、自律移動できる機能を持つ。その一方で、HOSPI-Rimoを随時遠隔操縦することも可能で、この時も周囲の状況を認識し、安全に移動する設計となっている。
2つ目は、「ロボットの動作と映像コミュニケーションによる対話機能」。HOSPI-Rimoにはカメラが搭載されており、その撮影方向を遠隔操作で自由に設定することが可能だ。なお、HD映像コミュニケーション技術を採用しており、双方向でのより自然な対話も行えるようになっている。
続いては、昨年発表の洗髪ロボット(画像2)。同ロボットはロボットハンドの技術を応用して開発され、今年はロボティックベッドとともに改良された、2011バージョンが披露される。
頭の形を従来よりも細かくスキャニングし、新たな手法を加えて手洗いから泡洗浄、乾燥までの一連の洗髪動作を行うのが2011バージョンの特長だ。個人の頭の形状や好みの洗髪方法のデータを登録でき、毎日の洗髪ニーズや頭皮ケアにも対応することまで想定した設計となっている。
特長を具体的に紹介すると、まず1つ目が「新・3D追従メカ/制御技術」。伸縮機能を加えた洗浄アームと、後頭部洗浄メカの協調制御によって洗浄領域が拡大された次第だ。合計24個の指先を用いて、より一層進化した3D圧力制御により優しく頭を洗浄するようになっている。
2つ目は、「コンディショナーおよびドライヤー機能」。従来の手洗い、泡洗浄に加え、要望の強かったコンディショナー機能および簡易ドライヤーを搭載、洗髪から乾燥まで一連の動作を支援できるようになった。
3つ目は「スポットもみ洗い機能」だ。進化したタッチパネルインタフェースにより、位置や強さ、洗い方などを好みの通りに指定できる機能を搭載。ユーザーの細かな要望にも対応できるようになっている。
そして、パナソニック製福祉用ロボットとしては最初に発表されたロボティックベッド(画像3)。同ベッドは第36回国際福祉機器展で一般に披露されると、その場で「今すぐ購入したい」と要望が出るほど反響となった1台だ。電動ケアベッドの一部がそのまま電動車いすになるという仕組みが特徴で、車いすを利用する人にとって最も大変なベッドなどの寝具と車いすの間の移動が必要なくなるという大きな特徴を持つ。今年のロボティックベッドは、昨年に引き続きいてさらに新機能を追加し、2011バージョンともいうべき内容となっている。
画像3。パナソニックの福祉型ロボット第1弾の「ロボティックベッド」。朝起きて、ベッドから降りることなく電動車いすで移動が可能。また、車いすがベッドの一部になるので、部屋の中のスペースの有効活用という点でも優れている |
今回の特長の1つが、「介助および自律支援を実現するロボティックベッド共通プラットフォーム」だ。車いす機能付き電動ケアベッドの実用機能を採り入れ、モジュール共有化を実施。より高い実用性と、広いユーザー層をサポートできるよう構成要素の共通化が行われた。
2つ目が、「新搭載のチルト合体/分離機能」だ。車いす部分には電動チルト機能を新たに搭載し、車いすの長時間利用時のズレのない体圧分散だけでなく、チルト姿勢での合体/分離の実現により、さらに実用性・快適性がアップしている。
3つ目が、「かんたん操作インタフェース」。複雑なモード切り替え/選択、合体/分離操作、全方向移動の操作がひと目でわかり、簡単・自在に操作できるインタフェースを装備した。
以上、3台のロボットが出迎えてくれるので、同展示会に足を運んだ時はパナソニックブースへの訪問を忘れないようにしよう。