村田製作所は9月22日、関西大学と三井化学との共同研究により高透明度有機圧電フィルムを用いたセンサデバイスを開発したことを発表した。

スマートフォンやタブレットPC、ポータブルゲーム機などの登場で、新たな体験を実現するヒューマンマシンインタフェース(HMI)の実現が求められるようになってきている。しかし、従来の圧電フィルムは、焦電性を持つため温度と曲げ・ねじりを分離して検知できないという課題があった。

そこで、今回、同社では焦電性を持たず透明度の高い圧電体を開発した。同フィルムは圧電出力定数が大きく、透明度が高い(光線透過率98%以上(内部ヘイズ測定による))、また、焦電性を持たないという特長を有し、ねじりを検出することも可能なことから、さまざまな応用が期待されるとしており、今回、試験的に同フィルムを用いて、曲げやねじりでテレビをコントロールする「リーフグリップリモコン」と、押圧力を検知できる押圧検知付きタッチパネル「タッチプレッシャーパッド」を応用デバイスとして開発した。

リーフグリップリモコンは、曲げ検知用圧電フィルムとねじり検知用圧電フィルムを使用することで、プレートの曲げねじりで操作する新感覚コントローラ。色素増感型光発電素子を組み合わせて作られており、ワイヤレスかつバッテリレスで永久的に動作するリモコンとして活用することが可能となっている。

リーフグリップリモコンの外観

使用例。プレートを曲げたりねじったりすることでテレビの操作が可能だ

リーフグリップリモコンの仕組み

一方のタッチプレッシャーパッドは、圧電フィルムは焦電性を持たないため、指で触れただけでは電圧が発生しないという特長を活用し、精度の高い検知を実現しているほか、左右上下方向の指の動きだけでなく、押圧力(どれだけ強く押したか)も検知することができ、押した力の分だけ拡大表示を緩急をつけて行うことも可能だ。

圧電フィルムを用いたタッチプレッシャーパッドのサンプル

使用例。使用例タッチパネルを押すことで、拡大表示をすることができる。強く押せば速く拡大し、弱く押せばゆっくりと拡大するということも可能

タッチプレッシャーパッドの仕組み

なお、同社では変位センサについては2012年春頃からのサンプル出荷を予定している(光電池の実用化の時期は未定)ほか、タッチパネルについても2012年秋頃からサンプル出荷を開始する予定としている。