2011年11月16日から18日までの3日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催される組み込み技術の総合展示会/カンファレンスである「Embedded Technology 2011(ET2011)」の開催概要が9月14日に発表された。今回、同展は名称変更以前の1986年に開催されたMST(マイコン システム ツールフェア)より数えて25周年を迎え、その記念となるイベントなどを行う予定としている。

今回の最大のポイントはEDAの展示会「EDS(Electronic Design and Solution) Fair 2011 Nov」との同時開催となること。「一見して半導体設計ツールは組み込み技術と離れているように見えるが、半導体もデバイス単体の世界からシステムそのものとしてのソリューションとして提供されるようになってきており、そうした意味では組み込みと似通ったものとなってきており、同時開催にすることで、より幅広い情報を届けられると判断した」と主催者側では説明している。元々、この主催者側の言葉の通り技術のボーダレス化が進んでいることもあり、数年間から互いに連携を模索していたとのことで、今回ETが25周年の節目ということもあり、実験的に同時開催に踏み切ったという。

ET2011とEDS Fair 2011 Novの同時開催により、ホールAからホールEまでの展示会場すべてを使う状態になった

今回のETでは「スマートエネルギー」「機能安全」「グローバル」の3つをテーマに展示やカンファレンスが行われる。展示としては特別企画ゾーンとして「スマートエネルギーと組込み技術」と題したコンセプトゾーンを用意。主催者コーナーでは、会期中の毎日開かれる基調講演に関連するデモなどを実施する予定とするほか、プロジェクトコーナーでは、実際にスマートシティなどの実証実験を行っている横浜市、豊田市、けいはんな、北九州市などの成果などの報告が紹介される予定。さらに出展社コーナーでは、各出展社が持つスマートエネルギー関連技術の紹介が行われる予定だ。

スマートエネルギーを取り上げた特別企画ゾーンのコンセプト

また、機能安全としては、システムの大規模化が進む現在において、そうした複雑化した機能を維持しつつ、どうやってシステムの安全性を確保していくのかを、先行する自動車分野への取り組みを中心に情報提供が行われる予定。

そして、グローバルとしては、「震災以降、組み込み業界にはグローバル化の3つの大きな局面に直面している。1つ目がコストの安いインドや東南アジアなどのオフショアを活用しようというという動き。2つ目が日本の組込機器ベンダが海外にビジネスとして進出していくという動き。そして3つ目が半導体やソフトウェア、Androidといった海外で作られたコンポーネントを使って製品を作ろうという動き。特に、安価で高品質なコンポーネントをどうやって集めてきて製品を作ろうか、というこれまでの自前での開発からコンポーネントを組み合わせていく開発の方式へのシフトが加速しつつある」とのことで、そうした現状の紹介ができれば、としている。

25周年記念でテクニカルセッションが無料に

また、25周年記念ということで、従来は有料であった9つのテクニカルセッションが無償開放される。この9つのテクニカルセッションのほか、基調講演は初日がマツダのSKYACTIVE技術に関する講演、2日目が東京ガスのスマートエネルギーネットワーク構築に向けた取り組み。そして3日目は小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネジャーでおなじみの宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川口淳一郎氏の講演となっており、加えて、パネルディスカッションや海外からの招待講演、SIM-Driveの代表取締役社長である清水浩氏などの特別講演など、130程度のセッションが予定されている。

ET2011では130以上のカンファレンスの開催が予定されている

加えて、2003年より行われてきたETアワードの投票方法が変更される。これまでは初日の来場者アンケートをもとに2日目に発表していたが、組み込み、製品、技術、ソリューションといったものを対象に、産業へのインパクトを審査、表彰する方式に変更される。

今回のETアワードの募集対象分野は、「ハードウェア分野」「ソフトウェア分野」「開発環境・ツール分野」「ソリューション分野」「普及・啓蒙分野」の5つとなっており、公募の方法については出展社に別途案内を送るとしている。

ETロボコンの会場も変更

このほか、ET2011とEDS Fair 2011 Novの同時開催となった関係上、これまでパシフィコ横浜のホールAで開催されていたETロボコンチャンピオンシップ大会が会議センターの3階へと開催場所が変更となっている。

全体のチャンピオンシップ大会では南関東勢が上位独占という快挙を成し遂げたが、場所が変更となる今回、これまでのノウハウが役に立たない可能性も出てくることから、波乱が起きることも考えられそうだ。

展示ホール、アネックスホール、そして会議センターとパシフィコ横浜の全体を使って、ET2011は開催されることとなる

なお、ET2011の全体スケジュールとしては、2011年10月11日にET2011の公式Webサイトにて、すべてのカンファレンスの情報が公開されるほか、来場の事前登録も開始される予定となっている。