ルネサス エレクトロニクスは5月31日、自社の8/16/32ビットマイコン用統合開発環境を1つに統一した次世代統合開発環境「CubeSuite+」を開発し、第1弾製品を2011年6月より発売することを発表した。

統合開発環境は、ユーザがマイコン用ソフトウェア(プログラム)を開発する際に使用する様々なツール(装置など)の連結操作を可能とし、ソフトウェア設計から評価、検証までの操作を向上させるもので、現在、同社ではマイコンの種類により「CubeSuite」か「High-performance Embedded Workshop」をそれぞれ提供しているが、今後、開発されるマイコンについては「CubeSuite+」での対応が可能となる。

第1弾製品としては、従来より「CubeSuite」でサポートしていた「V850ファミリ」や「78K0」などのマイコン、およびルネサス エレクトロニクス発足後の統合第1弾製品「RL78ファミリ」をサポート。

どのマイコンでも同じ操作性を維持しているため、ユーザーのツール操作の習得工数を削減することが可能なほか、初めて使うマイコンであっても周辺機能の設定手順に迷うことなく簡単にプログラムを作成できるよう、デバイスドライバの設計支援をGUIで行う「コード生成」機能も搭載している。

また、プログラムをマイコン用に翻訳するビルド時間について、バックグラウンドでビルドを自動的に開始する「ラピッド・ビルド」機能を搭載。これにより最短でビルドが完了できるため、ビルド時間を短縮できるようになるほか、指定したアドレスのプログラムを実行した際に変数の値を表示する「アクション・イベント」機能を搭載。これにより、右クリックだけで変数表示機能が指定できるようになるため、ビルド操作に時間を費やすことなく快適にデバッグすることが可能となる。

さらに、プログラム性能のチューニングに向け、複数の変数の関係を簡単に見ることができるよう、変数の値の遷移を横棒グラフで表示する「変数遷移グラフ」機能を備えたほか、関数の呼び出し関係を表示する「関数コール・グラフ」を搭載し、関数の呼び出し関係の確認や、より多く実行されている関数を呼び出し回数で確認することができるようになっている。

加えて、プログラムのダウンロード前後やブレーク後に繰り返し行う操作などを自動化し、操作ミスなく安心して開発できるよう、繰り返し行う操作をスクリプトで記述できる「Pythonコンソール」機能を搭載したほか、ツールとプロジェクトとを一括して保存/復元する「バックアップ機能」を搭載したことにより、ソフトウェアの開発が完了した状態の保存、復帰を容易に実現できるようになっている。

なお、今後は「RXファミリ」のサポートが予定されており、順次、対応マイコンを拡大していく計画としている。