寺岡精工は3月30日、同社の逆浸透膜ろ過システム「ECOA」における放射性物質除去能力の検査結果を発表した。
ECOAは水道水をろ過して純水を作り出す装置だが、放射性物質のろ過能力については想定外のため、実証的な根拠をこれまで示せていなかった。
今回、福島県飯館村役場の協力の下、放射性物質を含んだ同役場の水道水を原水とし、ECOAのろ過能力測定を実施、放射性物質の除去に効果があることが確認されたという。
具体的には3月26日に同役場の手洗い場の水道管にECOAを接続、同日および翌27日、両日ともに2度、公共水道水(原水)とECOAでろ過した水(RO水)を採取(26日は15時25分および16時41分、27日は11時37分と11時40分)し、3月28日に化研の水戸研究所にそれらを持ち込み測定を実施したという(測定日時は28日の17時13分、17時28分、17時44分、17時59分)。
この結果、放射性ヨウ素(放射線量の暫定規制値は300Bq/kg)は水道水(原水)からは350~600Bq/kgほど検出されたが、ECOA水(RO水)からは検出されなかった。また、放射性セシウム(同200Bq/kg)も水道水(原水)からは10~32Bq/kgほど検出されたが、ECOA水(RO水)からは検出されなかった。
同社では、今回の測定に用いた原水には、最大値で暫定規制値の2倍の放射性ヨウ素131(600Bq/kg)と、暫定値を下回る放射性セシウム(32Bq/kg)が含まれていたが、ECOAでろ過した試料からはいずれも検出されなかったことから、ECOAにより原水の水圧と水流が逆浸透膜(RO)のろ過機能を効果的に引き出した結果であるとの見方を示している。
また、ECOAは給水のたびに内部に滞留している水を排除、同時にフラッシングによるROフィルタの洗浄をおこなっているほか、1日に5回、自動的にすべての経路の滞留水を排出する自動洗浄を行っているという。さらに、ROフィルタでろ過された不純物は膜の濃縮側から排水される構造となっているため、ろ過された不純物がROフィルタに蓄積されることもないという。
なお、ECOAシリーズは業務用で、一番下のモデルとなる「ECOA-V80C(POCO)」の標準価格は250万円となっている。