Twitterrificを開発するIconfactoryのSean Heber氏とCraig Hockenberry氏がオープンソースプロジェクト「Chameleon Project」を明らかにした。iOSアプリケーションのコードをMac用アプリケーションの開発に再利用するフレームワークを提供する。

iOSアプリのユーザーインターフェイスの構築・管理を支えるフレームワーク「UIKit」。Chameleonプロジェクトの説明によると「ChameleonはUIKitと完全互換の代用品(drop-in replacement)」である。同プロジェクトがスタートしたのは9カ月前だ。IconfactoryがMac版のTwitterrificを開発したときに、iOS版のコード資産の25-30%程度、主にデータモデルでしかコードを再利用できなかった。そこでUIKitのポーティングに乗り出した。

Mac版Twitterrific。IOSアプリ版のコードを90%利用

現在Mac App Storeを通じてIconfactoryが提供しているMac版TwitterrificはChameleonを用いて構築されたもので、IOSアプリ版のコードの90%を再利用できたという。Chameleonがinterface idiomを追加することで、ソースコードに変更を加えずにMac向けとiOS向けのコンパイルが可能になる。現時点でChameleonへのUIKitの機能の実装は60%程度。アクセシビリティなどまだまだ課題が残されており、プロジェクトへの協力とサポートを呼びかけている。

ChameleonはAppleが公開しているドキュメントをベースにしたリバースエンジニアリングで、プライベートAPIやAppleがMac App Storeの利用規約で禁止している手法は一切用いていないという。ただしAppleのCore Animation技術に依存しているため、AndroidやWindowsなどApple以外のプラットフォームへのポートには使えない。

AppleはMacで動作するiOS SimulatorをiOSアプリ開発者向けに提供している。さらに踏み込んで同社自身がiOSアプリを動作させる仕組みをMac OS X Lionに組み込む可能性も考えられるが、Heber氏とHockenberry氏は「今日のAppleの関心は"未来"であり、これからの30年間はMac OS Xではなく、iOSに向かっている」と、実現の可能性に疑問符を付ける。その上で、「Chameleonのようなツールに対する開発者の関心が高まれば、Appleのエグゼクティブの優先順位も変わるだろう。かつて多くの人たちが、Jailbreak SDKの人気の高まりによって(最初の)iPhone SDKのリリースが加速すると考えた。その歴史が繰り返されれば素晴らしい」と期待している。