STMicroelectronicsは、MEMS気圧センサの新製品として「LPS001WP」を発表した。同センサを搭載する事で、近い将来、スマートフォンなどの携帯型機器は、地下750mやエベレストの頂上でも、1m以内の精度でその地点の高度を特定できるようになると同社では説明している。2010年12月中に出荷開始される予定で、大量購入時の単価は約2.8ドルとなっている。

同製品は、独自の圧力センサをモノリシック・シリコン・チップ上に形成する技術「VENSENS」により製造される。同製造技術は、一般的な気圧センサの製造に必要となるガラスとシリコンといったウェハ間の接合が不要となるため、信頼性を高めることが可能であり、衝撃耐性はフルスケールの最大20倍となっている。このため、同製品が機能する気圧範囲は300~1,100hPaで、これは標高-750~9,000mにおける気圧に対応しているほか、圧力の分解能は0.065hPaで、これは80cmの高度差を検知することを意味する。

圧力の検知方法は、高さ方向と気圧の両パラメータを制御した空洞部分をシリコン上に製造し、その上に形成されるシリコンの薄膜部分にて圧力を検知するというもの。同膜は、従来のシリコン・マイクロマシニングによる膜に比べると面積が小さくできるという利点があるほか、その構造上組み込まれている機械式ストッパによって破壊から保護されている。膜には、外部の圧力変化による膜の曲がりに応じて電気抵抗が変化する小さな構造体であるピエゾ抵抗素子が含まれており、その抵抗値の変化は検出後温度補正され、機器のホスト・プロセッサからI2CまたはSPI通信プロトコルを通して読み込めるデジタル値に変換される。