欧州委員会(European Commission)は11月30日(ブリュッセル時間)、欧州連合(European Union)の独占禁止法に基づいて米Googleを調査することを発表した。オンライン検索で高いシェアを握るGoogleが、その支配的な地位を利用して競合サービスを不当に締め出した疑いを調べる。

欧州委員会は今年2月、欧州のネット企業3社がGoogleの独占禁止法違反を問う苦情を申し立てたのを受けて予備調査を開始していた。今回の発表の中で「調査開始は委員会が(独禁法) 違反を確認したという意味ではない」としているが、正式調査が妥当という判断を下した形だ。

欧州委員会が調査するのは以下の4点。

  • 価格比較など特定の用途または分野に絞り込んだ検索(垂直型)について、Googleが競合サービスの結果のランキングを意図的に低くし、Googleの垂直型検索サービスの結果が優先されるようにした疑い。

  • AdWordsの入札価格を決定するクオリティスコアについて、競合する垂直型検索サービスのスポンサーリンクのスコアを故意に低くした疑い。

  • 広告パートナーに対し競合する広告をWebサイトで提供しないように要求し、またコンピュータベンダーやソフトウエアベンダーに競合する検索ツールの締め出しを働きかけた疑い。

  • オンライン広告キャンペーンのデータを競合する広告プラットフォームに移植するのを制限した疑い。

欧州委員会の判断に対して、GoogleはすぐにEuropean Public Policyブログを通じて見解を公表した。その中でまず、GoogleのサービスはWebサイトのためではなく、ユーザーのためにデザインされていると指摘。パートナーのコンテンツが優先される場合は広告であることをユーザーに明確に示し、またランキングに関しても可能な限り情報公開に努めていると主張している。

米国においても、Googleによる航空券情報サービスITA Softwareの買収がオンライントラベル市場の競争と透明性を阻害するとして、公正なフライト検索サービスの実現を求める複数のオンライン旅行会社がFairSearch.orgを発足させたばかりだ。FairSearch.orgは同日に欧州委員会の判断を評価するコメントを発表、改めて米司法省にITA買収の調査実施を求めている。