森下仁丹と大阪府立大学の研究グループは、合成高分子樹脂を皮膜とする独自のシームレスカプセル技術を用いて、希少金属(レアメタル)や希少貴金属(金、銀など)を効率的に回収可能な新規バイオカプセルを開発し、その成果を特許出願したことを発表した。

レアメタルは白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)など、電子機器などに利用されている希少な非鉄金属であり、世界的な需給バランスの逼迫が懸念され、日本にとっても長期的な安定確保が重要な課題となっている。

レアメタルの輸出は中国など一部の国に偏っており、輸出差し止めなどに対する危険性が指摘されており、都市鉱山として廃棄されている電子製品や環境中に存在する有用な希少資源を回収する方法が検討されてきている。

しかし、こうした分野に対する従来の回収方法では、エネルギーコストがかかるうえ、有害な有機溶媒を大量に用いるなどの問題があるため、代替方法として吸着剤や微生物を用いた回収が提案されているが、こちらも濃縮回収は困難で回収率の向上には至っていないのが現状であった。

今回、同研究グループでは、仁丹の有する合成高分子樹脂を皮膜とするシームレスカプセル技術応用の一環として、レアメタルや希少貴金属の回収バイオカプセルの開発に取り組み、独自のカプセル内部に吸着剤や微生物を高濃度で保持させ、カプセル内部に非鉄金属イオンを取り込むことで効率的な濃縮回収を可能とした。

同技術はレアメタルや希少貴金属に加え、今後、希土類元素などへの回収応用にも期待されるものと仁丹では説明しており、今後は従来のシームレスカプセルの応用開発分野で事業化済みの医薬品分野やプロバイオティクス、フレーバーなどの分野に加え、工業用途への展開にも注力していくとしている。