SAPジャパン ビジネス・イネーブルメント・オフィサーのデイビッド・クラウチ氏

SAPジャパンは10月26日、温室効果ガス排出管理ソフトウェア「SAP Carbon Impact」の日本語版を発表した。SaaS形態のサービスとして11月中に提供が開始される。

SAP Carbon Impactは、CO2をはじめ、温室効果ガス排出に関するさまざまなデータを収集/集計し管理するソフトウェア。収集したデータを見える化/分析できるだけでなく、あらかじめ用意されたテンプレートを用いて、各種の施策を実施した場合と実施しなかった場合を比べて収支面でどのような影響が発生するかなどもシミュレーションできる。

温室効果ガス排出量削減プロジェクトのROIを算出することもできる

また、GHGプロトコルイニシアチブが定めるスコープ3の温室効果ガス排出量、すなわち、サプライチェーンやサービス利用による間接的な排出も含めた温室効果ガス排出量を算出できる点も大きな特徴の1つ。「Webサーベイ」と呼ばれる機能により、関係各社に一斉にメールを送信して自社の特設サイトに誘導し、温室効果ガス排出に関わる各種のアクティビティを入力させて、それを基に全体の温室効果ガス排出量を算出するといったことが可能になっている。

さまざまなデータ収集方法が用意されている

そのほか、従業員個人の温室効果ガス削減活動を支援するためのものとして、例えば、昼食を徒歩圏内の飲食店で済ませて自動車使用によるCO2排出量を減らしたなど、温室効果ガス削減につながる行動をとった場合に、その内容に応じてポイントを付与することができる「リワードプログラム」機能なども搭載。加えて、日本語を含む7カ国後に対応しており、海外進出した場合にも支障なく利用することができるといった特徴も備える。

SAPジャパン インダストリー戦略本部 兼 バリューエンジニアリング本部 本部長 バイスプレジデントの脇阪順雄氏

SAPジャパン インダストリー戦略本部 兼 バリューエンジニアリング本部 本部長 バイスプレジデントの脇阪順雄氏は、上記と併せて、SAP Carbon ImpactをSaaS形態のサービスとして提供していることにフォーカスを当て、「温室効果ガス削減に関しては、今後、法令や規制の施行、変更がたびたび発生すると考えられる。オンプレミスのソフトウェアではその都度対応が必要になるが、SaaS形態であればユーザー側ではほぼ何も作業が要らない。もちろん、短期間で稼働を開始できるといたメリットもある」と述べ、同サービスの利便性をアピールした。

なお、SAP Carbon Impactは、昨年11月のClear Standards買収により取得した製品。以前からのユーザーとしてCoca-Cola Enterprisesなどの企業名が挙げられている。

※ SAP Carbon Impactの詳細については、独SAPのサステナビリティ担当副社長 Scott Bolick氏のインタビュー記事『【レポート】収益改善につながるサステナビリティ活動を支援 - SAPの"Carbon Impact"』で紹介しているので、そちらも併せてご覧いただきたい。