宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月12日、同日時点の小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったサンプルの回収状況を発表した。

はやぶさのコンテナおよびキャッチャにて確認されたサンプルについては、7月6日より回収および回収したサンプルの記録管理が開始。2個の微粒子が確認された際に用いられていた石英製マニュピレータではなく、テフロン製のヘラにてそれら微粒子が確認された領域をすくったところ、「詳しく数えていないがおそらく20~30個」(JAXA技術参与の向井利典氏)の微粒子が確認されたという。

はやぶさのサンプル回収に関して状況説明を行ったJAXA技術参与の向井利典

いずれも数μm程度のもので、「これを(ヘラから)回収することが予想外に大変な状態」(同)という状況。ヘラに静電気の力で付着している微粒子は、除電してマニュピレータで回収すること方法が予定されているが、この方法では「(1個あたりの回収に数時間かかるため)数が大量にあると、それだけで何日も経ってしまう。恐らく、これらの大半は地球由来の物質とみており、これらにかなりの時間を費やすかどうかが問題。もっと効率の良い回収方法がないか、検討している段階」(同)と、作業としてはなかなか進めていない状態と説明する。

また、作業がなかなか進められないことに関しては、「現在の(真空チェンバ内に異物を発生させないで導入できるレベルの)光学顕微鏡の限界が数μm。それよりも微細な粒子も入っている可能性があり、技術の進歩により、将来的にそれらも変質させないで回収、保存できるようにしておく必要がある」(同)という事情もあるほか、リハーサル時点では、数μmのダミー粒子を用意することが困難だったことあり、それよりも大きなサイズの粒子での練習しかできていないこともあり、「どうしても最初は試行錯誤を行いながら進めていくしかない。期待が高いことは理解しているが、もう少し、落ち着いて待っていてもらいたい」(同)とコメントしている。

なお、JAXAでは回収方法に関する検討を進めており、「今週中には検討結果をまとめて、今後の作業に生かしていく方針」(同)としている。