独立行政法人 産業技術総合研究所(以下、産総研) 太陽光発電研究センターは6月29日、National Renewable Energy Laboratory(米国 国立再生可能エネルギー研究所)と共同で、集光型太陽光発電システム(以下、CPVシステム)による発電性能の実証実験を開始することを発表した。

CPVシステムの仕組みと日本サイトの完成予想図

今回の実験は、経済産業省から革新型太陽電池国際研究拠点の1つとして選定された産総研が、その研究活動の一環として行っているもの。革新型太陽電池国際研究拠点では、平成20年度からの7年間で、変換効率が現在の3~4倍にあたる40%、発電コストが現在の約1/7にあたる7円/kWhの高効率/低コストの太陽電池の開発を目指している。

実験の最大の目的は、CPVシステムの発電効率と気候の関係を調べることにある。CPVシステムは、レンズを用いて自然太陽光を500倍以上の光強度に集め、小面積の超高効率多接合型太陽電池によって発電する発電方式で、発電効率が良い一方で、天候の影響を受けやすいという側面も持つ。そこで、快晴率が高く乾燥したコロラド州オーロラ市と温暖湿潤な岡山市京山にCPVシステムを設置して、気候の違いが発電性能に及ぼす影響を比較する。

また、産総研では、CPVシステムの発電量を正確に予測する評価方式を開発し、国際的整合性のある測定技術を確立/標準化することも目標の1つに掲げており、実験では、日本製、米国製、ドイツ製の性能の異なる多接合型太陽電池 3種が使用されるという。

今後は、年内に日米両国のCPVシステムを完成させ、2011年1月より発電量と気候データの取得、および性能評価方法の開発に着手する。実証期間は最長5年間の予定。