東洋紡績は、太陽電池のバックシートに用いられる各種ポリエステル(PET)フィルムの販売を開始したことを発表した。2012年に関連製品で70億円の売上高を目指す。

従来、太陽電池の最上層と最下層にはガラスが用いられていたが、軽量化のため、最下層のガラスは樹脂フィルムを積層したバックシートへの置き換えが進んでいる。バックシートは、電気絶縁層、防湿層、耐候層からなり、耐候層には、主にフッ素系フィルムが用いられてきたが、フッ素系フィルムからPETフィルムへの置き換えが進んでおり、2015年にはPETフィルムが全体の約7割を占めるようになると、同社では予想している。

太陽電池のバックシートは、電池寿命を左右する部材であり、同社では同用途に向け耐久性が高く、環境にやさしいバックシート用PETフィルム「シャインビーム」を開発、2010年春より販売を行ってきた他、電気絶縁層用に高機能PETフィルムの開発なども行ってきた。

シャインビームは、独自のポリマー重合技術と高度なフィルム製膜技術により、従来の太陽電池バックシート用PETフィルムと比較し、耐加水分解を約1.5倍に高めることに成功している。また、Underwriters Laboratoties(UL)規格の耐熱性についての仮認証を取得。従来の太陽電池バックシート用PETフィルムと比較し、高い耐熱温度を実現しているほか、UL規格の難燃性についても認証を取得済で、これにより太陽電池の長期信頼性の向上が図れるようになる。

さらに、独自の「重金属を含まないPET重合用触媒」を使用することで、重金属を含まず環境にやさしいPETフィルムを実現。透明タイプの他に白タイプも用意し、白タイプを使用することで、反射光も利用でき太陽電池の発電効率を向上させることができるようになるほか、50~250μmまで、さまざまな膜厚を選択することが可能だ。

加えて、太陽電池の種類に応じて透明、白、黒の3色から選定できるようにし、かつEVAとの接着性を向上させた「封止材易接着PETフィルム」を開発したほか、食品包装用フィルム「エコシアール」の技術を活用し、水蒸気透過度0.1(g/m2・日)以下のバリア性を持つ「エコシアール」ハイバリアグレード(PET)を結晶シリコン太陽電池用に開発中としている。

太陽電池の構造断面図の一例/バックシートの構造断面図の一例