米Palmの買収を発表した米Hewlett-Packard (HP)だが、同社買収完了前に非常に重要な人物の流出を許してしまった可能性がある。All Things DigitalのDigital Dailyコーナーを執筆するJohn Paczkowski氏は、webOSのUI設計を行った同分野のプロフェッショナルであるMatias Duarte氏がPalmを去り、Googleへと移籍したことを報告している。これは、GoogleのAndroidチームにとって力強い援軍となる一方で、HPにとっては貴重なリソースを失ったことを意味する。

Paczkowski氏によれば、Duarte氏がPalmを離れたことを確認するとともに、複数の関係者の話からその行き先がGoogleであることを突き止めたという。Google自身には同件についてDuarte氏の入社を認めただけで、どのチームでどのような業務に従事するかについてはコメントを控えている。Duarte氏はモバイルデバイスなどのユーザーインタフェース設計では著名な人物であり、過去にはHelio (Virgin Mobile USAに買収、現在では米Sprint傘下 )に在籍し、さらにそのルーツを探ると"Sidekick"ことDanger (現在は米Microsoft傘下 )のHiptopの設計を行っている。PalmではwebOSのUI設計に携わり、Palm Preの主要開発メンバーにあたる。

HPはPalm買収に際し、その知的所有権(IP)資産のほか、特にwebOSの応用例に注目していたことが知られている。HP会長兼CEOのMark Hurd氏によれば、Palm Preのようなスマートフォンだけでなく、タブレット型デバイスやネットワーク対応プリンタなど、HPのさまざまなネットワーク対応デバイスにwebOSを適用していくプランを用意しているという。webOSはLinuxをベースにUI部分の設計にフォーカスしたOSであり、OSの基幹部分からスクラッチで開発されていたPalm OSに比べ、特にUIを重視した設計が特徴だ。その意味で、Duarte氏を失うことは大きな損失と言えるかもしれない。