Freescale Semiconductorは、同社のQorIQ P2020とMSC8516を搭載したAdvancedMCのリファレンスデザインを発表した。これはLTEやWiMAX、WCDMA/TD-SCDMAといった方式に対応した基地局向けのものであり、基地局を製造するベンダはこのデザインを利用することで、迅速なプロトタイプの製造や、プラットフォームの開発、ソフトウェアの有効利用などを図ることができるようになるとしている。
「P2020 and MSC8156 AMCリファレンスデザイン」は、StarCore DSPとマルチコアPower Architectureを組み合わせたものであり、Single widthのAMCフォームファクタに収まり、ベースバンド処理のLayer 1/2/3をカバーする。OEMはこれを利用する事で、新しい通信規格に迅速かつスムーズに対応することが可能だ。
またQorIQプロセッサとStarCore DSPファミリはソフトウェアの互換性があるため、基地局ベンダにとってはこれら向けのソフトウェア資産を再利用することもできる。例えば、このリファレンスデザインを使って大型の基地局を製造したベンダは、そのソフトウェアを利用してピコセルのデザインを行うことも可能である。
QorIQ P2020はFreescaleのQorIQ製品ラインに属する。P2020はPower ArchitectureのP500コアを2つと、様々な高速I/Oオプション、暗号化アクセラレーションエンジンとDDR2/3のメモリコントローラを内蔵、45nmプロセスで製造され、1.2GHzで動作する。省電力性に優れており、リファレンスボードではネットワークのラインカードやベースバンドチャネルカードからの大量のデータトラフィックの管理を行う。
MSC8156 DSPは基地局アプリケーションに求められる高い演算性能要求に対応可能な性能とフレキシビリティを提供する。MSC8156DSPは、複数の通信方式をサポートする基地局やレーダー、ビデオカンファレンス、VoIPゲートウェイや産業向けアプリケーションなどに最適であると同社ではしている。これに統合されるDSPコアは、最大で48GMACs/secの演算性能を持つ。また内蔵されたMAPLE-Bベースバンドアクセラレータは、最大で280MspsのFFT処理や175MspsのDFT演算、200Mbpsの(3G-LTEで要求される)ターボ復号化、あるいは100Mbpsのビタビ復号化が可能である。
P2020 and MSC8156 AMCリファレンスデザインの価格は5,000ドルを予定しており、GDA Technologiesから提供される。