次世代モバイル用表示材料技術研究組合(TRADIM)およびNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、フィルム基板LCD用「高度集積部材」を開発したことを明らかにした。また、併せてフィルム基板LCDパネルをロールtoロールで作製する連続プロセス技術において、5μm以内の位置合わせ精度を実現する技術も確立したことも発表した。

同プロジェクトは2006年6月から2010年3月までの期間で実施されているもので、助成事業費用約23億円を活用し、フレキシブル基板を用いたLCDの製造を目指し、これまでにカラーフィルタ(CF)、バックライト部材、偏光/位相差フィルム部材、TFT基板のロールtoロール状部材を実現してきたほか、CFとTFT基板を用いて連続的にパネル化する技術などの開発も進めてきた。

今回、CFと偏光/位相差フィルム部材をロールtoロールで一体化したフロントプレーン高度集積部材と、バックライト部材と偏光/位相差フィルム部材をロールtoロールで一体化したバックライト高度集積部材を開発。これまで、CFと偏光/位相差フィルムを一体化した部材はなく、新たに材料と構成を研究、適合するものを開発したという。

高度集積部材の模式図

バックライト高度集積部材についても同様であり、フロントプレーン高度集積部材では、その構成部材であるCFに新たにロールtoロールの印刷方式で作製したフィルム基板CFを用いているほか、バックライト高度集積部材を光の反射ロスの元となる空気界面が無い一体化部材とした。

フロントプレーン高度集積部材

バックライト高度集積部材

パネル化プロセスのイメージ図

また、2008年12月に開発したフィルム基板LCDパネルの連続作製技術の開発を進め、従来の倍の精度(ズレ幅約1/2)である5μm以内の位置合わせ精度でロールtoロールによるTFT-LCDパネル作製を実現した。さらに、作製したLCDパネルに駆動回路などを取り付けて画像の表示を行い、特性を評価して良好に連続作製できていることも確認した。

連続パネル化プロセスで作製したLCDパネルを巻き取ったもの

これらの成果を用いることで、LCDパネルの製造工程数を減らすことが可能となり、製造時の各種エネルギーコストの削減およびディスプレイの省電力化などが期待される。

また、今回開発した要素技術をフレキシブルディスプレイへ適用することで、新たなアプリケーションへの応用も期待できるほか、ロールtoロール要素技術は、有機ELや太陽電池への応用も期待できるとしている。

連続パネル化プロセスで作製されたLCDパネル(パネル厚は0.5mm、重さはバックライトを除いて7g。写真はロールtoロールで作製したパネル両面に偏光部材を貼り合わせたもの)