「TOP500 Supercomputer Sites」は11月13日(現地時間)、通算34回目となるスーパーコンピュータ処理能力ランキングの最新版を公開した。

同ランキングは、世界中のスーパーコンピュータの中から性能の高いもの上位500をまとめたもの。テネシー大学のJack Dongarra氏、米エネルギー省ローレンスバークレイ国立研究所のErich Strohmaier氏/Horst Simon氏、独マンハイム大学のHans Meuer氏らが編纂し、毎年6月と11月に更新している(Photo01)。

Photo01:2009年11月13日に公開されたランキング。

今回はついに米オークリッジ国立研究所(ORNL:Oak Ridge National Laboratory)に設置された米CrayのJagaurが1.75PFLOPS/secの性能をたたき出して首位を獲得した。同システムは前回からプロセッサを交換。総コア数25万近くとなり、理論性能は2.3PFLOPS/secに達する。前回首位だったRoadrunnerだが、今回はシステム構成を変更したとかで若干性能を落とし、1.04PFLOPS/secの2位となった。

またJagaurと同じくCray XT-5を使うNICS(National Institute for Computational Sciences:米テネシー大学と米オークリッジ国立研究所の共同プロジェクト)のKrakenも825.5TFLOPS/secで前回の6位から3位まで順位を上げている。

4位のFZJ(Forschungszentrum Juelich)は、アメリカ国外としては最上位の成績。IBMのBlue Gene/Pで825.5TFLOPSとなっている。また第5位には、中国の天津にあるNational Super Computer Centerに設置された新システムであるTianhe-1(空の川の意味)がつけた。このシステムは原油探索や大規模航空機シミュレーションなどの研究目的に利用される。この第5位は中国としては最上位の成績であり、またこのシステムはIntelのXeonプロセッサ2つとAMDのGPU2つからなるノードで構成されるハイブリッドとなっている。

そのほかの新システムとしては、10位につけた米サンディア国立研究所のRed Skyがある。これはSun Microsystemsのブレードサーバを使い、423TFLOPS/secの成績である。

全体の傾向としては

  • TOP500のリスト入りのしきい値が、前回の17.1TFLOPSから20TFLOPSに上がった
  • 6コアCPUを使ったシステムが急速に普及。すでに全体のうち427システムが6コアCPUを利用する。
  • 全体の80%(402システム)がIntelのCPUを使う。IBMは10.4%(55システム)で微減、AMDも8.4%(42システム)で、こちらも微減。
  • HPとIBMが依然として主要なシステム提供ベンダとなっており、HPが210システム、IBMが186システムとなっている。またトータルパフォーマンスでは、IBMが全体の35.1%、HPが23.0%を占めている。その他のベンダとしては、Crayが15.9%、SGIが6.6%を占めていることが目を引く。
  • 全体の半分以上(277システム)が米国だが、やや減少傾向にあり、ヨーロッパやアジアのシステムの数が次第に増えつつある。

といったところ。

日本ではランク入りは前回の14システムから2つ増えて16システムとなった。国内最上位はNECの地球シミュレータで、122.4TFLOPS/secのスコアは前回と代わらず31位。また宇宙航空研究開発機構(JAXA)の富士通製システムも同じ110.60TFLOPS/secのスコアで36位に後退した。