シスコシステムズは、いつでも、どこでも、誰にでも、どのようなデバイスに対しても、アプリケーションやサービスをシームレスかつ安全・確実に提供することをコンセプトとした新しいアーキテクチャ「Cisco Borderless Networks Architecture」を発表し、このアーキテクチャにもとづいて設計されたサービス統合型ルータの第2世代となる「Cisco ISR G2」をリリースした。

ボーダレス ネットワークとは

Cisco ISRは、データ、音声、ビデオ、ワイヤレス、セキュリティなどのサービスを1台に統合した、企業の支店や営業所などのブランチオフィス向けのルータ。今回は、第一世代から5年ぶりにバージョンアップされた。

エンタープライズ マーケティング シニアマネージャ 北川裕康氏

「Cisco ISR G2」で採用された「Cisco Borderless Networks Architecture」について、エンタープライズ マーケティング シニアマネージャの北川裕康氏は、「いまの企業ネットワークはボーダネットワークで、ITコンシューマライゼーション、ビデオ、XaaS、モビリティ、グリーンといった新しいトレンドに対応することができない。これらに対応するには、新しいネットワークの形が必要だ。これまでは、スケーラビリティ、可用性、パーフォーマンス、アクセスする場所、デバイス、アプリケーションといったものにはそれぞれ個別に対応してきた。ここに壁がある。これを解決するのがボーダレスネットワークだ」と述べた。

ボーダレス ネットワークでは、通信環境、優先/無線といった「通信環境」、「デバイス」、動画やオンプレミス/オフプレミスといった「アプリケーション」の境界をなくすこと

北川氏によれば、ボーダレスネットワークでは、ポリシーベースの管理、SaaSモデルの取り込み、リソースをコンバージョンするネットワークという3つに対応するよう開発されたという。

そして、ボーダレスネットワークのキーテクノロジーとなるのが、「Cisco Services Ready Engine(Cisco SRE)」。これは、ハードディスクを搭載したブレードであるCisco SRE サービスモジュールによって実現される。SREでは、ハードウェアとソフトウェアが完全に分離され、ユーザーはルータを購入した以降でも、必要に応じてハードウェアを変更することなく、ソフトウェアを購入して、リモートで機能を追加できる。また、Cisco SRE サービスモジュールはルータ本体のリソースからも独立して運用できるという。

アプリケーションは、シスコ提供のものだけでなく、サードパーティが提供するアプリケーションも搭載できる。

シニアマネージャ 大木聡氏

シニアマネージャの大木聡氏によれば、Cisco SRE サービスモジュールでは最大1TBのハードディスクを搭載できることから、ビデオ録画、電話録音などにも対応でき、今後はWindows Serverや仮想化環境を動作させることも視野にいれているという。

そして、Cisco SREを搭載したCisco ISR G2では、Cisco 1900シリーズ、Cisco 2900シリーズ、Cisco 3900の3つが用意され、IOSの最新版である15.0が搭載される。

Cisco ISR G2の製品ラインナップ

Cisco 3900シリーズの3945とCisco SRE サービスモジュール(SM-SRE-900-K9)

Cisco 2900シリーズの2911とCisco SRE サービスモジュール(SM-SRE-700-K9)

Cisco 1900シリーズの1941とCisco SRE サービスモジュール(SM-SRE-300-K9)

Cisco ISR G2に搭載されるIOSは、単一のユニーバーサルイメージで、ユーザーは有効キーを入力することにより、付加機能が利用可能になるという。

ハードウェアでは、プロセッサは従来機の最大5倍のパフォーマンスを発揮するほか、IPテレフォ二―、ビデオ会議対応を意識して、DSPはマルチコアで従来機4倍のパフォーマンスを発揮するという。

Cisco ISR G2でのハード面の強化ポイント

また、最上位の3900シリーズは、将来のアップグレードに備え、マザーボードの交換も可能だという。

そのほか、省電力ではポリシーベースでポート、モジュール単位の電源のON/OFFを制御する「Cisco EnergyWise」を搭載している。