手嶋屋は9月28日、10月7日より発売される加藤登紀子によるマキシシングル「1968」に参加権が付いたSNS「「1968 by 加藤登紀子」に技術提供を行ったことを発表した。同SNSは同社が開発元であるSNSNソフトであるOpenPNEで構築され、マキシシングルの発売日同日にスタートする。

iPhoneでTwitterを使いこなすという加藤登紀子氏

オリジナル新曲「1968」を中心にすべて新録音による4曲で構成される「1968」は、ベトナム戦争、キング牧師やロバート・ケネディの暗殺、日本の全共闘による学生運動など、世界中が混沌としていた1968年に対する思いを込めた一枚だ。加藤登紀子氏は「世界でさまざまなことが起こった1968年は、21世紀に向けて準備をしていた時代。昨年誕生したオバマ大統領には暗殺されたキング牧師とケネディの縁を感じる」と話す。

「たとえ、1968年に生まれていなかった人たちも、1968年という年について考えてみることでこれまで知らなかったことに出会えるはず。1968年はいろいろなことに出会うことができる1つの扉と言える」(加藤氏)

手嶋屋 代表取締役 手嶋守氏

同氏は1968という曲を昨年作り、コンサートで歌っていたが、新たな方法で世に出したかったという。それが、SNSを活用して若い世代に1968という曲を知ってもらうことだった。

1968 by 加藤登紀子は、「1968」を購入した人だけ2010年まで無料で参加できるSNSだ。参加方法は、加藤登紀子公式サイト「TOKIKO WORLD」の「1968」特設ページにアクセスし、マキシシングル「1968」に印字されたシークレットナンバーを打ち込めばよい。同SNSでは日記、スケジュール、アルバム、コミュニティといった、一とおりの機能を利用することができる。

SNS「1968 by 加藤登紀子」の操作画面

1968 by 加藤登紀子の構築を担った手嶋屋の代表取締役を務める手嶋守氏は、今回のプロジェクトには、「加藤さんの"若い人に伝えたい"、"若い人に曲を聴いて、考えて行動してほしい"という願いが込められている。こうした思いを実現するにはSNSがふさわしい」と説明した。

加藤氏がiPhoneは操作できるがPCと携帯電話の操作はできないということで、iPhoneでの操作ができるよう、手嶋氏自らOpenPNEの機能改良を図ったそうだ。「スケジュールとイベント機能がすぐれているのがOpenPNEの特徴。これらの機能を活用して、加藤さんのコンサートに合わせて、イベントを開催するといったスケジューリングも簡単に行える」

加藤氏はSNSの利用について、「これまでもホームページや掲示板など、インターネット上のメディアを活用してきたが、SNSはまた新たなコミュニケーションの場という感じがする。不特定多数の人と出会えるのがとても楽しみ」と話した。また、「今という時代は、人々が自由にモノを言えない状況にある。だからこそ、このSNSは何を言ってもよい解放区にしたい」と熱く語った。

記者からは、「匿名性と自由性が高いインターネットでは、プライバシーが侵害されたり、論争が過熱したりするといった問題があるが、その辺りはどう考えているか」という質問があった。この質問に対し、手嶋氏は「今回のSNSは加藤さんのマキシシングルの購入者から、さらにプロジェクトに賛同している人が参加者となっている。そのため、一般のインターネット上のメディアとは異なり、自分の意見を自由に発信できるはず」と説明した。

左から、手嶋守氏、加藤登紀子氏、トキコプランニング 代表取締役 加藤幸子氏、タワーレコード 商品販促統括部部長 鈴木智彦氏